「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新技術でこんなに変わった「考古学」の現場風景
The Past Is Closer Now
DNA解析はケネウィック人をめぐるものをはじめ、考古学の議論に大きく貢献している。ケネウィック人とは1996年に米ワシントン州で発見された約9000年前の古人骨で、当初は白人男性のものとみられた。そのため古代のアメリカ大陸にインディアン以外の人々がいたという説の重みが増し、「先住民」とは誰かという問題が持ち上がった。
2015年のDNA解析で、ケネウィック人の骨格がその時代の先住民のものと一致した。ケネウィック人の発見は、欧州からの移住が始まる「ほんの」数世紀前に既にアメリカに白人がいたことを示す驚愕の証拠にはならないと明らかにした。
最近の注目すべき発見には、人々の目を見開かせるものがある。2012年にイングランド中部のレスターで中世の王リチャード3世の遺体が見つかった一件だ。歴史的資料を使った昔ながらの作業により、リチャード3世の遺体はかつて存在したグレイフライアーズ教会に埋葬されたと分かり、その後に場所が特定された。なんと駐車場になっていた。
遺体が発見されたら、科学の出番だ。まず放射性炭素年代測定により、遺体の年代がほぼリチャード3世の時代のものであると分かった。さらに検視技術により、死亡時の年齢をかなり正確に推定できた。