「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新技術でこんなに変わった「考古学」の現場風景
The Past Is Closer Now
実際、この10年ほどは話題性の大きな発見が相次いだ。極地探検の黄金時代に沈没したエレバス号とテラー号、エンデュアランス号など、有名な沈没船が見つかっている。
エレバス号とテラー号は1845年にイギリスを出発し、太平洋と大西洋を結ぶ北西航路を開拓するため北極海に向かったが、氷の海に沈んだ。エンデュアランス号は、1915年に英探検家アーネスト・シャクルトン率いる南極探検の途中で海中に沈んだ。
紀元60年頃の夫婦の暮らし
両極地方の過酷な海は、遺物を良好な状態で保存するという面では完璧な環境だった。「冷凍庫で保管するのと似た状況だ。船体を食い荒らす微生物などは存在しない」と、オルティスバスケスは言う。
2万5000点の画像を基にした3Dモデリングにより、デッキ上のお皿や乗組員のブーツ、信号銃など、エンデュアランス号の細部も明らかになった。こうした沈没船の中に入ることはできなくても、その姿をありありと見ることができるのだ。
イングランド南東部の都市コルチェスター(僕がいま暮らしている町だ)は、数々の考古学的発見の現場になってきた。この町はイギリスで有数の歴史を持つ。鉄器時代には既に大きな集落が存在し、ローマ帝国によるブリテン島征服後は、ローマ帝国の同地における都だった。17世紀にはイングランド内戦の激戦地となり、ビクトリア朝時代には大きな繁栄を遂げた。