最新記事
テクノロジー

今度こそ本物?「ごく少量の血液で誰でも使える検査装置」が人手不足に悩む医療現場に起こす革命

Blood, Sweat and Tears

2025年3月6日(木)10時35分
アレクシス・ケイザー(医療担当)

newsweekjp20250305045612-7d6e0bcffc338bc1911b3159512000643ceda231.jpg

トルビアンの装置は専門知識不要で低コストかつ迅速な検査を実現 TRUVIAN

1種類の項目だけを検査するオプションもあったが、私はトルビアンの看板商品「トゥルーウェルネス」に含まれる34項目全てを選んだ。これには包括的な臨床化学検査、脂質検査、CBC(全血球計算)、ヘモグロビンA1c、甲状腺刺激ホルモンなど、多くの一般的検査が含まれる。

マリヌッチは私のサンプル容器の中身を数回混ぜ合わせた後、装置にサンプルを固定するための四角い「サポートパック」に入れた。


装置のトレイがスライドして開くと、私は分析用ディスクとサポートパックを所定の場所に置いた。トレイがスライドして戻ると、DVDプレーヤーのように機械が回転し始めた。

マリヌッチによれば、一般的な検査ラボではさまざまな検査を行うために複数の分析装置が導入されているが、トルビアンは主要な分析機能を1台の装置に集約し、生化学試験、免疫測定、血液検査を同時に行えるようにした。

約30分後、検査結果がスクリーンに表示された。私はそれをスマートフォンのアプリで確認するため、自分のサンプルのIDを登録した。

私が注目したのは、何年も前から定期的な血液検査のたびにわずかに上昇していた2つの数値だ。案の定、トルビアンの検査でも両数値の微妙な上昇が検出された。

マリヌッチによれば、装置の精度を試したくて検査を受ける人は私が最初ではないという。トルビアンはいくつものヘルスケア・カンファレンスに見本を出展。明らかなマーカーが検出されると、多くの参加者がうれしい驚きを隠さないそうだ。

「半信半疑で来た人たちが、採血して検査結果を見て『信者』になる。『百聞は一見にしかず』だ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

ビジネス

米新規失業保険申請、2.1万件減の22.1万件 予

ビジネス

ECB、5会合連続で利下げ 政策の制約度は低下

ビジネス

米人員削減、2月は245%増 連邦政府職員の解雇が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 9
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 10
    理不尽過ぎるトランプ関税にカナダが激怒、「狙いは…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中