今度こそ本物?「ごく少量の血液で誰でも使える検査装置」が人手不足に悩む医療現場に起こす革命
Blood, Sweat and Tears
付きまとうセラノスの影
最近の「信者」には著名人もいる。昨年12月、泌尿器科系癌の精密医療を専門とするデサイファー・バイオサイエンシズのティナ・ノバ元社長兼CEOがトルビアンの取締役に就任。今年1月には臨床検査サービスのラボコープのデービッド・キング元CEOが諮問委員に任命された。
キングは昨年12月の本誌の独占インタビューでトルビアンの装置を称賛。病床や外来などで採血し、その場ですぐに結果が出る簡易迅速検査用の装置にはセファイド、ロシュ、シーメンスなど一流メーカーの製品が多数あるが、トルビアン製が総合力で傑出していると語った。
「ほとんど(の装置)は検査できる数が限られており、個人病院の場合はそれがネックの1つになってきた。スペースに限りがあるので、全ての検査をするために卓上型装置を何十台も設置するのは避けたいからだ」
だが著名人の後押しにもかかわらず、トルビアンにはセラノス事件の影が付きまとう。社名(英語表記は共にTで始まる)やロゴ(白地に寒色系の差し色)、装置のサイズと形、メーカーが保証する処理速度とシンプルさなどが一見似ているせいだ。
「セラノスのほころびが雪だるま式に大きくなり、投資家は同様の話に及び腰になった」と、マリヌッチは言う。