今度こそ本物?「ごく少量の血液で誰でも使える検査装置」が人手不足に悩む医療現場に起こす革命
Blood, Sweat and Tears
トルビアンが次の資金調達にこぎ着け、試作機の改良に着手するまでに2年かかった。それから6年8カ月後、筆者はこの装置を試す機会を得た。
私がマリヌッチとトルビアンのジェイ・スリニバサンCEOに初めて会ったのは、24年9月6日。彼らは資金提供者のDNSキャピタルが所有するシカゴのオフィスの一角に拠点を構えていた。
米食品医薬品局(FDA)は同社の検査方式を承認していなかったので(今も承認していない)、私は事前に「試験的調査」に参加登録しなければならなかった。
トルビアンの検査方式はごく少量の血液しか必要としない。採血はすぐに終わり、私は同社のロゴ入りばんそうこうを貼った。隣の部屋では、カウンター上に2台の装置が置かれ、普通のコンセントにコードが差し込まれていた。
主要検査を1台でこなす
トルビアンの装置の特長の1つは、誰でも使えることだ。訓練を受けた検査の専門家である必要はない。
検査ニーズが高まるなか、人手不足に悩む医療現場にとっては朗報となる可能性がある。この装置がFDAから特別な承認を受ければ、小規模な病院や医院の診察室に設置し、今いる看護師や医療助手が操作できる。医師が診察の間に検査結果を受け取り、患者と話し合うこともできる。
私は採血容器のバーコードをスキャンしてIDを同期させ、装置のタッチスクリーンをタップして生年月日、性別などの質問に回答した。これらのデータは、複数の分析で「正常範囲」の算出に使われると、マリヌッチは言う。