人工知能で鮮やかに蘇る1897年のエルサレム
20世紀初頭のヤッフォ門周辺 Public Domain
<120年以上前に撮影された白黒映像に、最新技術が命を吹き込む>
「まるでタイムマシンみたい」──120年以上前の無音でモノクロの映像に、最新技術が新たな命を吹き込んだ。
カラー映像で見られるようになったのは、1897年に撮影されたエルサレムの街頭と行き交う人々の表情だ。ヤッフォ門のあたりで、賑やかな通りの様子がよく分かる。この門は1530〜40年の間に建てられ、何世紀もの間、西洋の巡礼者にとって旧市街への入り口であった。
この映像は、1897年4月にリュミエール社のアレクサンドル・プロミオが撮影したものだ。シネマトグラフを開発し、「映画の父」として知られるオーギュスト・リュミエールとルイ・リュミエールの兄弟は、世界中にカメラマンを派遣し、各地の記録映像を残した。
ユーチューブにカラー映像を投稿したフィルム・レスキューは「ノイズが見られ、色は自然ではないものの、かなり実際に近い」と述べている。
「人工知能を使って白黒フィルムをカラー化したことで、昔の様子をより高画質で見ることができるようになった」
滑らかさのためのフレーム調整、4Kへのアップスケーリング、輪郭を強調させ、ノイズの除去を行ったという。雰囲気を出すために音も加えられた。
動画は昨年8月に公開されたものだが、11月末にアメリカの人気投稿サイトRedditにアップされたことで再び話題となっている。
寄せられたコメントもユニークだ。
「リビングルームをそのまま背負っているような男性がお気に入り」
「2021年の人々に未来的なデバイスで覗かれていることを、彼らは誰も知らない」
150年後に2021年を振り返ったとき、私たちにはどんな視線を注がれているのだろうか。