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空き家の古民家から新たな価値を創出 世界から注目を集める山翠舎の「古木」

2023年11月29日(水)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー


「古木」の海外需要の高さを利用し、さらなる課題解決に繋げる

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古木を使ったプロダクトの一つ「KOBOKUベンチ」。パリのLECLAIREUR Héroldにて撮影

同社は創業時、木工を主体とする企業であった。そこから2代目が内装工事等に事業を広げ、古木を活用した事業を始めたのは3代目の現社長だ。

しかし当初は、古木の事業を推進すること自体が直接SDGsの達成に繋がるという理解が社内で不足していたという。さらに従業員数も20人程度と、限られたリソースでSDGsの取り組みを行う必要があった。

そのため毎週の社内勉強会に加え、多くの外部・自社メディアを駆使して、自社SDGsの取り組みを発信。それを継続することで、社内での認知度や取り組みが向上していった。外部のSDGsに取り組む先進企業や専門家とも連携して問題などの解決を図ることで、取り組みを円滑に実施することもできている。

こうして社内一丸となって取り組んできた結果、同社の古木を使った家具は、グッドデザイン賞2020「審査員の一品」や、ウッドデザイン賞2020「特別賞」などを獲得するなど、高い評価を得ている。2023年1月には、パリで開催された「メゾン・エ・オブジェ」に出展。海外から古木ベンチを受注するなど、その魅力は世界にも広まりつつある。

今後は、家具のみならず、古民家そのものを海外顧客に紹介し、利用を積極的に推進する予定だという。

これまで、古民家を飲食店や訪日外国人向けの宿泊所へ活用する例は見てきたが、建材自体に新たな付加価値を創出し再利用する取り組みは、地域に根差し、3代にわたって技術を培ってきた同社ならではの視点と言えるだろう。

使われなくなった古民家から出る建材へストーリー性や希少性を持たせて再利用することに海外からのニーズが高いというのは、我たち編集部としても新たな発見であった。こうして視野を広げてみると、地方の空き家問題を解決する術はまだまだあるのかもしれない。私たちも課題解決に向けて、様々な視点をもつことを忘れないようにしたい。

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