自給自足の自然エネルギーでホテルを運営。星野リゾート 軽井沢ホテルの環境経営とは
「星のや軽井沢」施設全景
<『星のや軽井沢』では、100年前から続けている自家用水力発電等で化石エネルギーに頼らない経営を目指している>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
昨今の観光産業において、エネルギーや二酸化炭素の削減が世界的に課題となる中で、長野県・軽井沢にあるリゾートホテル「星のや軽井沢」では、およそ100年前から消費エネルギーの一部を自給自足するなど、環境に配慮した経営を推進している。
自然エネルギー活用で、消費エネルギーの約70%自給自足を達成
「星のや軽井沢」は、豊かな自然に恵まれた長野県・軽井沢にあるリゾートホテルだ。星のや軽井沢では、環境に配慮しつつ、自社の企業価値を高める「環境経営」を1992年から実践している。
環境経営の活動は、施設面から環境へ配慮する「ゼロエミッション」、二酸化炭素の削減に貢献する「自然エネルギーの活用」、自然資源を守りながら持続的に観光資源として活用する「エコツーリズム」という3つの要素で構成されている。
このうち「自然エネルギーの活用」は、豊かな自然環境の上に成り立つリゾートとして、環境負荷を最低限にし、自ら使うエネルギーは出来るだけ自給していくという思いのもと、開業当初より推進されてきたものだ。
主なエネルギー源として、施設内を流れる水源を利用した自家水力発電と、掛け流し温泉の排湯熱、地下から回収した地中熱を活用。これに加え、建築上の工夫も組み合わせることで、厨房で使用するプロパンガスと、自動車のガソリンを除き、化石燃料を使うことなく、消費エネルギーのうち、約70%のエネルギーを敷地内で生み出すことに成功している。
「さらに、2022年に顧客のためのEV充電設備を設置したり、2023年にはエリア送迎にEV車の導入を行いました。これにより、宿泊客に対して、移動時から滞在時まで二酸化炭素排出の少ない、環境に配慮された旅の提供を実現することができました」と、星のや軽井沢総支配人の赤羽亮祐氏は話す。