自給自足の自然エネルギーでホテルを運営。星野リゾート 軽井沢ホテルの環境経営とは
約100年前から始まる星野リゾートの環境経営の精神
星のや軽井沢の環境経営の原点は、前身となる「星野温泉旅館」の創業までさかのぼる。星野温泉旅館は1914年に開業したが、当時は電力の供給が十分ではなく、1929年に日本で初めて本格的な自家用小型水力発電を導入し、約8割の電力を自給して運営していた。同時に、日本野鳥の会創設者の中西悟堂氏から「野鳥は食べて楽しむものではない。見て楽しむものだ」という教えを受け、生態系の保全活動を開始。その結果、1974年に隣接する国有林が「国設軽井沢野鳥の森」に指定された。
「このような開業当初から連綿と引き継がれている『環境との共生』という考えは、星のや軽井沢をはじめ、星野リゾート全体にも受け継がれています。自然環境があることがリゾート最大の魅力であるため、環境経営を持続可能にすることが、経営的にも非常に大きな競争力になると考えています」と、赤羽氏は語る。
星のや軽井沢を運営する星野リゾートは、社会価値と経済的価値の両立を目指す「CSV(Creating Shared Value)経営」を重要視しており、CSV経営を促進するためのフレームワークとしてSDGsを位置づけ、全国の施設でさまざまな活動に取り組んでいる。
昨今、観光産業はエネルギー消費や廃棄物が多いことから、世界的に環境に配慮した持続可能な経営が求められており、アメリカやノルウェーではエネルギーを自給自足する宿泊施設も出てきている。こうした中で、約100年前から続く星のや軽井沢の環境経営は、世界の先駆的な事例として、今後の取り組みにも注目が集まるだろう。
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