就労が不安定な若い人たちに寄り添い、社会復帰を促すRealizeの取り組みとは
社長の過去の体験が、困っている若者に寄り添う取り組みの根幹になった
同社がこうした取り組みを始めた背景には、代表の村田氏自身がシングルマザー家庭で育ち、急な派遣切りや就労状況が不安定で暮らしに苦労した経験がある。
「自分を顧みて『本当に困っていたときに一番辛かったこと』を考えたとき、それが「仕事が安定していないこと」であったと思い出しました。さらに、手伝ってくれるスタッフにも同じような環境から抜け出そうとしている若者がおり、同じ境遇の若い仲間や次の世代に向けて、彼らが働ける環境づくりへと動き出すことにしました」と、村田氏は語る。
当事者の気持ちがわかるからこそ、彼らに寄り添ったアプローチやサポートを実現することができているのだ。
2022年から取り組みを開始し、現段階で8割の正社員登用を達成。2024年度内に9割以上を目指している。今後は、スマホで検索することが当たり前となっている時代に合わせ、新しいスタイルの社員教育が必要であると語る。自主性の低い現代の若者を社会人として育成するために社内体制を強化し、教育の新しい手順や方法を社内で共有、浸透させるまでを見据えているという。
教育や貧困に関わる問題解決に向けた取り組みは、海外を支援するものが注目されがちだ。しかし、昨今の日本では、若者の約2割が安定した仕事に就くことができていないと言われており、貧困は決して人ごとではない。SDGsの目標の一つである「誰一人取り残さない」を達成するためにも、Realizeのように今一度身近な課題に目を向けるべきなのかもしれない。