就労が不安定な若い人たちに寄り添い、社会復帰を促すRealizeの取り組みとは
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<不登校などで就労に苦労する若い人たちを積極的に採用して、社会人への第一歩を支援する>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
Realize株式会社は、携帯電話関連企業での業務を行うIT人材派遣という事業特性を生かし、社会から孤立した若者の積極採用を行っている。単なる採用活動にとどまらず、社会に関心を持てるような働きかけや、継続して就労できる環境づくりを実施し、社会復帰に繋げる取り組みだ。
社会復帰の第一歩として、「社会で働く大人」に興味をもてるようSNSでアプローチ
不登校やネグレクトなどによって、学校での教育を十分に受けられなかった場合、その後の社会生活で苦労するケースが多い。Realize株式会社は、そうした若者が社会復帰するための採用活動、および採用に向けた就学・就労をサポートしている。
まず、社会的に孤立した若者にアプローチするため行っているのが、「社会で働く大人」に興味や親しみをもてる環境づくりだ。彼らは周囲との関わりを避ける傾向にあるため、コンタクトを取りやすいTikTokなどのSNSを活用し、「社会で働く大人」をアピール。興味をもったらそのまま連絡を取れるシステムや、同じ境遇の仲間が気軽に推薦できるような仕組みをつくり、就労のハードルを下げている。
就労に繋がった後も、2週間の研修を経て正社員に登用できるよう、採用前後に学びのカリキュラムを用意。さらに、就労が継続できるよう、事務所を彼らの居場所となるよう整備し、問題が起きればすぐに相談・共有できる環境を整えるなど、サポートも徹底している。
代表取締役社長の村田裕信氏は、「弊社はIT人材の派遣企業として、携帯電話関連企業での業務を請け負っていますが、携帯電話は生活のメインツールであるため、機種や使い方、プラン、契約内容といった業務に必要な情報は、社会から孤立した若者にとっても親和性があります。また、未経験人材にも寛容で、ステップアップもしやすい業界であるため、就職支援・職業訓練をスムーズにしやすい環境が整えられると考えています」と話す。