SDGsに積極的な組織へ...SHIROYAMA HOTEL kagoshimaがホテリエ800人の意識を変化させた「工夫」とは
「SHIROYAMA SDGsアワード」最終審査会の様子。
<社員がSDGs達成を「自分ごと化」するため、会社を挙げてSHIROYAMA SDGsアワードを開催>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
フードロスや人手不足などの課題を抱えるホテル業界でSDGsへの関心が高まっている。一方、社員全員が同じように関心を持っているとは限らない。SHIROYAMA HOTEL kagoshimaは社員であるホテリエ(ホテルの従業員)が自主的に関心を持てるように、SDGsをテーマにした社内コンテストを開催している。
現場から生まれる、社会課題解決のための組織づくり
観光産業、特にホテル業界は、大量の食糧・ゴミ廃棄や従業員不足などの課題を多く抱えている。積極的にSDGs達成に向けた取り組みを行う企業が多いが、トップが熱心で、社会的意義のある取り組みでも、社員全員が真剣に取り組み、組織として問題意識を共有するのは難しい。
鹿児島市内のホテルSHIROYAMA HOTEL kagoshimaも、同じ課題を抱えていた。社内に「SDGs推進室」を設立し、社員にSDGs研修を繰り返すものの、全員との意識共有はなかなか進まない。そこで、SDGs推進室が考えた取り組みが「SHIROYAMA SDGsアワード」である。
「SHIROYAMA SDGsアワード」は、全従業員800人がSDGs達成に向けた持続可能な取り組みを立案し、活動の中から優れた取り組みを行ったチームを表彰する社内コンテストである。
コンテストの目的は、社員が自主的にSDGsに向けて取り組むことにある。4部門・63部署に所属する従業員が、SDGs達成のために部門を横断したチームを自由に編成。現場からSDGsに関する具体的なアクションが生まれる事が狙いだ。
「これまでの研修会では、SDGsについて全社員が理解することに限界があると感じていました。そこでコンテストの審査ポイントとして『勉強会方式』を導入、チームごとに勉強会をするようにしました。各チームがそれぞれに勉強会を実施し、その結果、社員同士でSDGsへの理解を急速に深めることができました」とSDGs推進室の安川あかね氏は語る。
こうした観光業における持続可能な社会を目指した取り組みが評価され、SHIROYAMA HOTEL kagoshimaは「公益財団法人日本環境協会主催 エコマークアワード2021優秀賞受賞」「日本ホテル協会社会的貢献に対する会長表彰2021・2022優秀賞受賞」「ブランド総合研究所主催 地域版SDGs調査2023サステナブル部門鹿児島県内1位」と多数の賞を受賞している。