「NFTアート」を購入しカーボンオフセットに貢献? 米スタートアップ企業が展開
このコレクションは、各生物の成長が完了するまで追加料金を払いながら、レベルアップを繰り返すことができる。今回の「エコサピエン」は、最初はレベル0のサナギの状態で、レベル7の「大型植物」が最終レベルだ。レベルアップの度に、それまで持っていたものは消滅し、次のレベルの姿を受け取る仕組みだ。なお、「エコサピエン」は二次取引ができる。
12種類のコレクションは、アーティストのギャレット・ケーン氏がデザインした。ケーン氏は、木や草花をベースに、粘土や3Dプリントの部品、LEDランプなどを組み合わせた印象的な彫刻作品を手掛け、著名なアートフェアーでも紹介されている。環境に高い関心を持っており、作品の売り上げの10%を環境保護チャリティーに寄付している。
SDGsに取り組む信頼できる団体で、カーボンオフセット
同社のコレクションは、所有してレベルアップしていく姿を楽しむことが目的の1つだ。もう1つの目的は、購入するとカーボンクレジットが付いてくるため、地球環境に貢献する点だ。
「エコサピエン」を例に取ると、サナギから人間の姿になるレベル1に500ドル払うことで16トン分のカーボンクレジットが付き、このクレジットは別の場所でのカーボンオフセット(CO2削減活動)に使われる。16トンは、アメリカ人のCO2年間平均排出量だという。レベル2から最後のレベル7までは、毎回100ドル払って各2トンのカーボンクレジットが付く。一定期間内にレベル7まで購入すれば、28トンのCO2削減に貢献できる。
このカーボンクレジットは、北部放牧地トラスト(NRT)という非営利団体が発行している。NRTは「ケニア北部放牧地炭素プロジェクト」というカーボンオフセットプログラムを実施している。このプロジェクトは、気候の変化、干ばつ、家畜の過放牧によって劣化した広大な草原を健全な状況に戻し、30年間で5000万トンのCO2を除去・蓄積することを目指している。草原の回復は、東アフリカクロサイなど絶滅危惧種の生息環境の改善にもつながる。また、本プロジェクトは、「貧困をなくそう」などSDGsの6つの目標に取り組んでいることも注目に値する。
同社は、今後、ほかのカーボンオフセットプログラムも加える予定だ。