「朝の歯磨きは食前・食後?」 歯科医師・医師が教える毎日の正しい歯磨き習慣で腸内環境も改善する

2024年3月11日(月)11時46分
栗原毅(医師)栗原丈徳(歯科医師) *PRESIDENT Onlineからの転載

【毎日できるのであればフロスが一番】

歯ブラシだけでは、歯と歯の間(歯間)のプラークを落とすのに十分ではありません。そのための用具として歯間ブラシやフロスがあります。

理想はフロスですが、使い方がかなり面倒です。フロスは細いナイロン繊維をより合わせた糸を歯間に通して歯の側面をきれいにするアイテムです。

使い方は商品のパッケージにも書かれていますが、コツがいるので、初めて使う人は歯科衛生士の指導を受けたほうがよいでしょう。ちゃんと毎日できるのであれば、フロスが一番です。

実際に使ってみて、フロスが面倒だと思う人は、歯間ブラシをお勧めします。

歯間ブラシはいくつかサイズがありますが、健康な歯の人は一番細い歯間ブラシでも歯間に挿入できない場合があります。

しかし、ブラシが挿入できるのであれば、歯間ブラシのほうが簡単です。サイズは7種類ありますが、自分に合ったものを選んでください。

サイズ選びのポイントは、無理なく挿入でき、きつさを感じないものを選びましょう。形もL字型(L型)のものと、まっすぐ(I型)のものがありますが、これも好みなので、自分が使いやすいほうを選びましょう。

【プラークの除去率は格段にアップ】

フロスがうまく指に巻けない方は、糸ようじというものもあります。Y字型の糸ようじは、歯周病になりやすい奥歯の歯間の掃除がやりやすいという人もいます。これも好みなので、自分に合っているなら、それを用いればよいでしょう。

歯ブラシだけのケアよりも、歯間ブラシやフロスのケアを加えたほうが、プラークの除去率は格段にアップします。

なお、フロスや糸ようじの糸がすぐ切れるという人がいます。同じ歯間でしょっちゅう切れるのであれば、歯に微細な欠けなどがある可能性があります。

その場合は、歯科医師に相談したほうがよいと思います。欠けている部分にプラークがついていると除去しにくいので、そこからむし歯や歯周病が進行するリスクがあるからです。

【歯みがき剤の成分「トラネキサム酸」に注目】

ドラッグストアのオーラルケア売り場に行くと、たくさんの歯みがき剤(歯磨剤)が並んでいます。歯ブラシ同様、どんなものを選べばよいのか困ってしまいますね。

配合されている有効成分で選ぶというのも1つの方法です。歯周病に効くといわれている成分には次のようなものがあります。

「トラネキサム酸」は、出血を抑える抗炎症成分で、抗炎症作用があります。歯肉炎の段階であれば改善する可能性があります。

他には、抗炎症作用がある「グリチルリチン酸」という成分もあります。

また「酢酸トコフェロール(ビタミンE)」という成分も、血行を促進し、歯肉を活性化する作用が期待できます。歯肉が出血するのは傷ができているわけですが、その傷を治すために血行を促進させるのです。

「イソプロピルメチルフェノール」(IPMP)は、殺菌作用のある成分です。どんなに完璧にケアしたと思っていても、プラークの取り残しは絶対にあるもの。そうした取り残しの歯周病菌を減らす効果が期待できるかもしれません。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日本製鉄、山陽特殊製鋼を完全子会社に 1株2750

ワールド

ノルウェーで欧州懐疑派政党が政権離脱、閣僚の半数近

ビジネス

日経平均は小幅に3日続伸、方向感欠く 個別物色は活

ビジネス

午後3時のドルは154円台を上下、トランプ関税や日
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中