「朝の歯磨きは食前・食後?」 歯科医師・医師が教える毎日の正しい歯磨き習慣で腸内環境も改善する

2024年3月11日(月)11時46分
栗原毅(医師)栗原丈徳(歯科医師) *PRESIDENT Onlineからの転載

【就寝前は10分以上時間をかけてみがく】

1日3回といいたいところですが、大事なのは回数よりもタイミング、つまりいつみがくかということ。そして一番大事な時間帯は、寝る前です。

歯周病菌が夜寝ている間に繁殖しやすいのは、寝ているときに唾液の分泌が少なくなるからです。

唾液には殺菌作用があるので、唾液の分泌が盛んな日中は、歯周病菌は就寝時よりはおとなしくしています。

ですから、歯周病菌の温床となるプラークを寝る前にしっかり落として、歯周病菌の繁殖を抑えないといけません。

お酒を飲んだ後に歯みがきをするのは大変かもしれませんが、歯を失わないための一番重要な歯みがきは夜なので、舌みがきなどを含め10分以上時間をかけて、しっかりみがくようにしてください。

もう1つ大事な時間は、朝起きた直後の歯みがきです。

朝は必ず朝食後にみがいているという人がいますが、それよりも重要なのは、起床直後です。

朝起きた直後はまだ唾液の分泌が少ないので、口腔内環境が劣悪な状態になっています。

寝る前に歯をきちんとみがいていても、口腔内の歯周病菌がゼロになるわけではありません。口腔内には、歯周病菌が残っています。

この口腔内にいる歯周病菌を飲み込んでしまうと、胃を通過して腸にまで達し、腸内環境を破壊するともいわれています。

【歯周病菌を飲み込むと腸内環境が悪化する】

朝起きた直後に白湯を1杯飲むという健康法が最近流行っていますが、これは絶対にしないでください。こんな時間に白湯を飲んだら、歯周病菌を飲み込むことになってしまうからです。

それよりも、朝起きてすぐ歯をみがいて口腔内をきれいにしたほうが効果的です。

どうしても、歯みがきの時間があまりないという人は、口の中をゆすいで口腔内の悪い菌を吐き出してください。何もしないよりはよいと思います。

もちろん、朝起きてすぐ歯みがきをしているのであれば、朝食後もみがきたい人はみがいてかまいません。食事の後は歯と歯のすき間などに食べかすが残っていますから、それを取り除くのはよいことです。

同じ理由で、昼食後の歯みがきが習慣になっている人も、今までどおり続けてよいのです。

これらの歯みがきは、夜の歯みがきよりも短時間でかまいません。食べかすがたまりそうなところを重点的にみがくのでもよいと思います。

繰り返しになりますが、一番大事なのは夜寝る前の歯みがきです。この時間さえしっかりみがいていれば、朝起きたときは口をゆすぐだけでも、歯周病ケアとしては最低限をクリアしていると思います。

もちろん、それだけでよいという意味ではありません。できる人は、朝起きたときや食事の後にもみがくようにしてください。

税制
日本のモデルは「合理的」。安定財源として期待される「たばこ税」はどうあるべきか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米政府、中国系ハッカーによる大規模メタデータ窃取を

ワールド

原油先物が反発、5日のOPECプラス会合に注目

ワールド

ロシア、シリア指導部との連帯表明 「反体制派に外部

ワールド

ロシア富裕層の制裁回避ネットワークを壊滅、米英が連
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求…
  • 5
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 6
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 7
    肌を若く保つコツはありますか?...和田秀樹医師に聞…
  • 8
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 9
    ついに刑事告発された、斎藤知事のPR会社は「クロ」…
  • 10
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 4
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 5
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 6
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 10
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中