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「チャイナプラスワン」の東南アジアに米関税の逆風、報復はせず交渉模索

2025年04月03日(木)17時14分

 トランプ米大統領が4月2日に発表した相互関税は、東南アジア諸国にとって想定以上に厳しい内容となった。ベトナム・フンイエン省にある縫製工場で2020年12月撮影(2025年 ロイター/Kham)

Francesco Guarascio Orathai Sriring

[ハノイ/バンコク 3日 ロイター] - トランプ米大統領が2日に発表した相互関税は、東南アジア諸国にとって想定以上に厳しい内容となった。各国は国内の打撃緩和に動き、米政権とのディール(取引)を模索し始めた。

相互関税率は、カンボジアの49%を筆頭に、ベトナム(46%)、タイ(36%)、インドネシア(32%)、マレーシア(24%)など基本税率(10%)から大幅に上積みされた。これらの国は、米国を主要輸出先とするだけでなく、第1次トランプ政権での米中貿易戦争を受け、企業が生産拠点やサプライチェーン(供給網)を中国以外に移管・分散する「チャイナプラスワン」戦略の恩恵を享受してきた。

今のところ、報復関税を示唆する国はない。

ベトナムのファム・ミン・チン首相は3日早朝に緊急閣議を招集、米相互関税に対処する作業部会の設置を指示した。今年の成長率目標8%は変更しないと述べた。国営メディアが報じた。

ベトナムには、アップル、ナイキ、サムスン電子などが製造拠点を置く。昨年の対米輸出額は1420億ドルで、国内総生産(GDP)の30%近くを占めた。

国際法律事務所Lutherベトナム事務所の責任者レイフ・シュナイダー氏は「ベトナムの輸出主導型成長モデルは非常に成功し、多国籍企業を惹きつけてきた。46%の米相互関税は、このモデルに真っ向から挑戦するものだ」と述べた。

ベトナムはすでに関税免除に向けた譲歩措置を取っているが、今後数日にさらなる措置を米に提示する可能性がある。

「新たな関税の影響を軽減・緩和する方法について交渉が続けられると予想する」と在ハノイ米国商工会議所の幹部は述べた。

タイのペートンタン首相は、相互関税軽減に向け米政府と交渉する方針を示した。タイの経済成長は昨年が2.5%と域内で見劣りする。今年の成長率目標は3%。首相は「GDP目標を達成できない事態は避けたい」と述べた。

ピチャイ商務相は、政府が米との交渉を準備しているとし、対米国関係は良好で交渉がうまくいくことを大いに期待していると述べた。

マレーシアは、報復関税措置は取らないと発表した。貿易省は「自由で公正な貿易の精神に基づく解決策を模索するため」米当局と積極的に対話する方針を示した。

東南アジアで最も高い税率を課せられたカンボジアは、アパレル産業への打撃が懸念される。現地の投資コンサルタントは「経済にとって非常に深刻な状況だ。カンボジアには交渉の切り札となるものがなく、長い列の最後尾に並ぶことになる」と述べた。

ロイター
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