イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レディパーツ!』が描く新しいムスリム女性像
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「イスラムの不良娘」vs「思慮深いムスリム女性」
本作の話に戻ろう。レディパーツが、その音楽からも、メンバー間で交わされる会話からも、パンク・フェミニズムの潮流の中にあることは明らかである。ここで次のような疑問が浮かぶかもしれない。パンク・フェミニズムとムスリムであること(イスラム教を信じること)は両立しうるのか、と。
たとえばシーズン1の第5話で、レディパーツは「イスラムの不良娘」や「宗教に嚙みつく」バンドというレッテルを張られる。ところが、バンドメンバーはそれを強く否定し、自分たちが「思慮深いムスリム女性」であると主張する者さえいた。これをどのように理解できるのだろうか。
「ムスリム」であることや「思慮深いムスリム女性」であることの意味は、人によって多様である。イスラム教には「アッラー以外に神はなし、ムハンマドはアッラーの使徒なり」という信仰告白がある。唯一神を信じ、ムハンマドが神の預言者で使徒であると信じることがこの宗教の核心である。そこから始まるさまざまな事柄──聖典(クルアーン)や聖法(シャリーア)の理解や実践など──については、多くのバリエーションや変化がある。
パンク・ロックの草創期と重なる1970年代、ムスリムの間で聖典や聖法の原点回帰と呼びうる動きが強まった。「原点」とはイスラム教が始まった7世紀であり、当時の理解や実践を重視する考え方が、程度の差こそあれ各地に広がった。それが政治とつながると──女性の社会進出が進み、社会的地位が得られていた地域でさえ──女性の役割は子を生み育てることにあるという声が強まり、前時代的な男性優位の家族法が復活した。
こうした動きに抗うべく始まったのが、後に「イスラミック・フェミニズム」と呼ばれる運動である。1980年代以降、突出したリーダーや組織のないまま、各地で、「イスラムは公正である」という共通した信念のもと、宗教の典拠や語彙も用いながら、性差別をなくし、新たな社会構造や人間関係をつくり出そうとする動きが広がった。
「音楽は宗教的禁忌(ハラーム)」という台詞に象徴されるような、規範的なイスラム認識に対する反逆をテーマの一つとした本作を、イスラミック・フェミニズムの潮流に位置づけることもできるだろう。
しかし、レディパーツが対峙するのはイスラムの宗教権威や男性中心主義社会だけではない。そこにはイギリス国内での人種差別や性差別、排外主義、そして自分たちの欲望をコントロールしようとする資本主義も立ちはだかる。シーズン2で誕生する曲『悲しきガラスの天井』は、それらに囲まれ、がんじがらめになった現状への嘆きや怒り、宣戦布告とみることができるだろう。
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