最新記事

BOOKS

「死にたい」と言った私を救った、母の「意外な言葉」──サヘル・ローズさん

2022年4月21日(木)19時37分
flier編集部
サヘル・ローズ

サヘル・ローズさん flier提供

<戦争に翻弄され、孤児院で暮らした子供時代。日本で受けたいじめと、優等生を演じ続けた「着ぐるみ」生活。俳優サヘル・ローズさんに、人生を救われた言葉を聞く>

※このインタビュー記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

テレビや映画、舞台などで幅広く活躍する俳優サヘル・ローズさん。このたび自身の半生や、人々との出会いの中で感銘を受けた言葉を綴った著書『言葉の花束』が刊行されました。

忙しい俳優業の傍ら、難民キャンプを訪問するといった活動にも精力的に取り組んでいます。

背景には、自身も戦争によって翻弄されてきた生い立ちがあると言います。イランの孤児院で育ち、そこから養母に引き取られて8歳のときに来日、日本ではイジメに遭ったり、一時路上生活を送ったりしました。

そうした過酷な半生を赤裸々につづった本書ですが、不思議と重苦しい雰囲気はなく、前面に出るのは爽やかで可憐な「花束」のイメージです。

サヘル・ローズさんが救われた言葉、届けたい言葉について単独インタビューで伺いました。

◇ ◇ ◇


本は友達

── 『言葉の花束』にはこれまでの人生で出会われたさまざまな印象深い言葉が綴られていました。想定されている読者層をお教えください。

最初は、私が経験したように、孤児院で育った方や里親さん、イジメで悩んでいる人を想定していました。ただ、それだけではなく、私の心の声、経験をまとめたこの本を通して、読者が「私と同じ考えかもしれない。同じように感じている人がいたんだ。私は一人じゃなかった」と思ってもらえたらなといいなと思って書きました。

── どのような反響がありましたでしょうか。

「読んでいくうちに、サヘルの声が聞こえてきた気がする。読み聞かせをしてくれている。そばにいてくれている」といったコメントが多く寄せられてうれしかったですね。

もともと目標としていたのは、本から声が聞こえてくるような、誰かに寄り添う一冊にすることでした。

私は幼少期、図書館によく通い、本が友達でした。本が隣に座ってくれていて作者を感じ、登場人物に心を通わせることで、救われたことが何度もありました。

この本が誰かの友達になったり、寄りかかれる存在になったりしたらいいなと思っていたので、実際そういう声が多く、私がそこにいるように感じてもらえてうれしかったです。

優等生のブレーカー

── 中学時代には自殺も考えられるほど悩まれたと伺いました。

はい。最初は、同級生による言葉のからかいから始まりました。先生に相談すると、「冗談だから気にするな。気にし過ぎ、繊細過ぎる」と言われてしまったんです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-EQT、日本の不動産部門責任者にKJRM幹部

ビジネス

独プラント・設備受注、2月は前年比+8% 予想外の

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご

ワールド

中国、EU産ブランデーの反ダンピング調査を再延長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中