【大谷翔平MVP】アメリカに愛され尊敬される二刀流 ショーヘイはいかに「唯一無二」か
IT’S SHO-TIME FOR THE MLB
打撃では10月1日の時点で、本塁打(45本)がMLB3位、長打率(0.590)は4位、塁打数(314塁打)は4位、OPS(出塁率+長打率、0.960)は5位、三塁打(8本)は1位タイ、そして盗塁(26個)は8位だ。大谷が超一流の野手としてのパワーとスピードを兼ね備えていることが分かる。
だが日本で大谷より先に北海道日本ハムファイターズでプレーし、現在はサンディエゴ・パドレスに所属する投手のダルビッシュ有は、大谷の今季の活躍を「驚くしかない」と言った上で、体への負担を心配する。
「投手として1シーズン投げるだけでも非常にきつい。体に大変なストレスがかかる」と、ダルビッシュは言う。「でも彼の場合は、指名打者として毎試合出場し、7日か8日おきに先発登板している。これは相当のストレスだ。(投打いずれかに専念した場合の)2倍では済まない」
ファンはそんなことは思いもしないかもしれない。大谷は全てのプレーを、いとも簡単にやっているように見えるからだ。
大谷が今シーズン見せたなかで、マドンが挙げる印象的なプレーの「トップ3」は以下のとおりだ。まずヤンキース戦でのホームスチール、6月25日に敵地トロピカーナ・フィールドでのタンパベイ・レイズ戦で放った138メートルの特大ホームラン、そして9月3日に本拠地でのテキサス・レンジャーズ戦で7回117球を力投して9勝目を挙げた試合だ。
このレンジャーズ戦は、今季20度目の先発登板だった。シーズン終盤にこれほどたくさんの球数を投げたことで、大谷は「底力」を見せたと、マドンは評価している。
レイズ戦の一発は、1回に放った先頭打者本塁打。時速187キロという驚きの打球速度で右翼席後方へ突き刺さった。この打球は、MLBにデータ解析システム「スタットキャスト」が導入された15年以降の先頭打者本塁打の打球速度最速記録を塗り替えた。
06~14年にレイズの監督を務めてトロピカーナ・フィールドを知り尽くしているマドンは、あの球場であんなに遠くまで飛んだ打球は見たことがないと述べている。
このような瞬間を目撃した相手チームの選手たちは、大谷に対して最上級の賛辞を送らずにいられない。
8月18日のデトロイト・タイガース戦に先発した大谷は、8回を6安打1失点に抑えて8勝目を挙げた。90球中69球がストライクという圧巻の投球内容だった。しかも、打者としては飛距離131メートルの40号を右翼席にたたき込み、敵地コメリカ・パークの観客から「MVP! MVP!」という歓声を浴びた。