最新記事

アメリカが愛する大谷翔平

【大谷翔平MVP】アメリカに愛され尊敬される二刀流 ショーヘイはいかに「唯一無二」か

IT’S SHO-TIME FOR THE MLB

2021年11月19日(金)11時30分
スコット・ミラー(MLB専門スポーツジャーナリスト)

打撃では10月1日の時点で、本塁打(45本)がMLB3位、長打率(0.590)は4位、塁打数(314塁打)は4位、OPS(出塁率+長打率、0.960)は5位、三塁打(8本)は1位タイ、そして盗塁(26個)は8位だ。大谷が超一流の野手としてのパワーとスピードを兼ね備えていることが分かる。

だが日本で大谷より先に北海道日本ハムファイターズでプレーし、現在はサンディエゴ・パドレスに所属する投手のダルビッシュ有は、大谷の今季の活躍を「驚くしかない」と言った上で、体への負担を心配する。

「投手として1シーズン投げるだけでも非常にきつい。体に大変なストレスがかかる」と、ダルビッシュは言う。「でも彼の場合は、指名打者として毎試合出場し、7日か8日おきに先発登板している。これは相当のストレスだ。(投打いずれかに専念した場合の)2倍では済まない」

ファンはそんなことは思いもしないかもしれない。大谷は全てのプレーを、いとも簡単にやっているように見えるからだ。

大谷が今シーズン見せたなかで、マドンが挙げる印象的なプレーの「トップ3」は以下のとおりだ。まずヤンキース戦でのホームスチール、6月25日に敵地トロピカーナ・フィールドでのタンパベイ・レイズ戦で放った138メートルの特大ホームラン、そして9月3日に本拠地でのテキサス・レンジャーズ戦で7回117球を力投して9勝目を挙げた試合だ。

このレンジャーズ戦は、今季20度目の先発登板だった。シーズン終盤にこれほどたくさんの球数を投げたことで、大谷は「底力」を見せたと、マドンは評価している。

レイズ戦の一発は、1回に放った先頭打者本塁打。時速187キロという驚きの打球速度で右翼席後方へ突き刺さった。この打球は、MLBにデータ解析システム「スタットキャスト」が導入された15年以降の先頭打者本塁打の打球速度最速記録を塗り替えた。

06~14年にレイズの監督を務めてトロピカーナ・フィールドを知り尽くしているマドンは、あの球場であんなに遠くまで飛んだ打球は見たことがないと述べている。

このような瞬間を目撃した相手チームの選手たちは、大谷に対して最上級の賛辞を送らずにいられない。

8月18日のデトロイト・タイガース戦に先発した大谷は、8回を6安打1失点に抑えて8勝目を挙げた。90球中69球がストライクという圧巻の投球内容だった。しかも、打者としては飛距離131メートルの40号を右翼席にたたき込み、敵地コメリカ・パークの観客から「MVP! MVP!」という歓声を浴びた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中