韓国、ユン大統領罷免を受けて政界は大統領選へ 野党「共に民主党」イ・ジェミョンが大きくリード

憲法裁判所での罷免宣告後、尹錫悦がいる官邸近くの漢南洞で団結を訴える保守派の集会(筆者撮影)
<罷免を言い渡された尹錫悦弾劾後の政治情勢と次期選挙展望は>
4月4日、韓国憲法裁判所は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追を全員一致で認め、尹大統領は罷免となった。宣告当日、警察は総員体制を意味する「甲号非常」を発令して2万人余りの機動隊員を全国に配置し、そのうち1万400人をソウルに割り当て、憲法裁判所周辺では厳戒態勢が敷かれた。フェンスや車両で壁を作り、憲法裁判所最寄りの安国駅の入口を閉鎖。警察の要請を受けたソウル交通公社は前日午後4時以降、すべての列車を通過させる措置を取った。また憲法裁判所と安国駅周辺の店舗に臨時休業を要請し、周辺企業も多くが在宅勤務とした。
しかし、市民の多くは平静を保ち、憲法裁判所近くに集まったデモ隊も昼過ぎには解散。宣告から約2時間半後には機動隊と報道関係者以外はほとんど残っていなかった。この平穏な反応は、8年前の朴槿恵元大統領弾劾時に保守派市民が集会を開き、警察と対峙した状況とは大きく異なる。
与党「国民の力」の権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長は「憲法裁判所の決定を謙虚に受け入れる」と述べ、「いかなる暴力や極端な行動もあってはならない。分裂と葛藤をやめて共同体回復の道に進まなければいけない」と自制を呼びかけていた。