【大谷翔平MVP】アメリカに愛され尊敬される二刀流 ショーヘイはいかに「唯一無二」か
IT’S SHO-TIME FOR THE MLB
MVPレースで大谷の最大のライバルとなるのは、トロント・ブルージェイズの強打者ブラディミール・ゲレロJr.。大谷とシーズン最終盤まで本塁打王争いを繰り広げたゲレロは、12年のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)以来となる三冠王に近づく成績を上げた。
ゲレロはブルージェイズのプレーオフ進出争いに貢献した。だがいかに素晴らしい成績を残しても、大谷のように何役もこなしたわけではない。「本塁打王のタイトルだけでMVP争いが決まってほしくない」と、エンゼルスのジョー・マドン監督は言った。
日本にいたときと同じく、大谷はアメリカでも謙虚なことで知られている。それが大変な人気を獲得している理由の1つでもある。
だからといって、大谷を甘く見ると痛い目に遭う。謙虚な半面、大谷は競争心の塊でもある。その一端は、9月12日の試合後の記者会見で、本塁打王のタイトルについて語った言葉からもうかがえた。
「(本塁打王を)もちろん取りたいという気持ちはありますが、取りたいなというだけで取れるものではない」と、大谷は語った。「いい打席を毎日続けていけたらと思う。基本に忠実になり、1打席ずつ大事にしながら打ちたい」
自身の言う「いい打席」、そして質の高いプレーこそ、大谷が今シーズン見せてきたものだ。彼は45本塁打以上、25盗塁以上を同一シーズンに達成するという、MLB史上ではバリー・ボンズ(1993年)、ホセ・カンセコ(98年)、アルフォンソ・ソリアーノ(2006年)らに続く6人目の選手となった。
「みんな大谷の次の打席を見たいから、チャンネルを替えられない。彼が投げる試合が分かれば、『その夜は絶対に見よう』と思う。その上、盗塁まで決めてしまうかもしれないんだ」と、マドンは言う。
「『こんなもの見たことがない!』というくらいに、彼は人々の関心を奪っている。見たことがないものを前にしたら、それにひたすら引かれて、さらに見たいと思うだろう。私は大谷の活躍が、もっと多くの人々を野球のとりこにすることを願っている。アメリカだけでなく、世界中でそうなってほしい」
大谷は今シーズン、本拠地エンゼル・スタジアムで13試合に先発登板し、6勝0敗、防御率1.95という成績を残している。球団史上、1シーズンに本拠地で開幕から13試合に先発して敗戦がなく、防御率で2点を切った投手は初めてだ。