【大谷翔平MVP】アメリカに愛され尊敬される二刀流 ショーヘイはいかに「唯一無二」か
IT’S SHO-TIME FOR THE MLB
「大谷がマウンドと打席でやってのけていることは想像を超えている」と、タイガースの先発投手だったタリック・スクーバルは試合後に語った。「本塁打数でリーグトップを走り、しかも防御率が2.79だなんて現実とは思えない」
相手チームが恐れをなすのも無理はない。タイガースのA・J・ヒンチ監督は7試合で2回も大谷を敬遠で歩かせた。8シーズンの監督生活でヒンチが敬遠を指示した回数は、わずか100回ほど。これは全打席数の0.2%にすぎない。大谷がいかに警戒されているかがよく分かる。
「対戦するときは、痛い目に遭わないように祈るほかない」と、ヒンチは述べている。「MLBで大谷ほど対策が難しい選手はいない」
ヒンチは、大谷の大活躍を野球界にとって素晴らしいものだと考えている。「二刀流のプレーヤーを目指す『未来の大谷』のための扉が開けた」と、ヒンチは語っている。
「とはいえ、これほど高いレベルで二刀流を成功させるプレーヤーが出てくる可能性はとても小さい。それに挑む選手はいるだろうし、優れたプレーヤーも現れるかもしれない。それでも、投打の両方で大谷の域に達する選手は出てこない。それはあり得ないことだと思う」
選手の役割分業が進んだ現代のMLBで、大谷は間違いなく新しい世界を切り開いた。
マドンの言葉を借りれば、「一度広がった精神が元のように狭まることは難しい」。つまり、MLBの球団が大谷の活躍を目の当たりにした以上、それ以前の時代にはもう戻れないというのだ。ほかの球団も古い固定観念を捨て、運動能力の優れたプレーヤーが二刀流に挑戦することを認めるようになるかもしれない。
しかし、もし今後再び偉大な二刀流プレーヤーが登場したとしても、大谷が唯一無二の存在であるという事実は変わらない。壁を最初に打ち壊したのは大谷だからだ。
その偉大な業績に加えて、いつも謙虚でフレンドリーな大谷の振る舞いは、MLBで、そして全米で多くの人を魅了してきた。
「オールスター戦では、素晴らしい選手を大勢見ることができるが」と、マドンは言う。「いま大谷はオールスターのなかのオールスターと呼ぶべき存在になっている」
7月のオールスター戦では、先発して勝利投手になっただけでなく、ホームラン競争にも出場して15万ドルの賞金を獲得した。すると大谷は日頃のサポートへの感謝の印として、エンゼルスのトレーナーや職員など約30人の裏方に賞金を全額分配した。