トランプ氏、相互関税の一部を90日間停止 対中は125%に引き上げ

トランプ米大統領は9日、相互関税と10%の一律関税に対する90日間停止を即時発効すると発表した。2日撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ米大統領は9日、貿易相手国に対する相互関税について、国・地域ごとに設定した上乗せ部分を90日間停止すると発表した。一律10%の基本関税は維持する。
同時に、中国に対する追加関税を125%に引き上げ即時発効すると発表した。中国に対する関税率を巡っては、104%に引き上げ9日に発動したばかり。
ホワイトハウスは、90日間停止措置は即時に発効すると確認。ホワイトハウス報道官は、各国の状況に合わせた交渉を継続すると表明した。中国については、報復措置を発表したために高い関税を適用したと説明した。ベッセント財務長官は、米国の関税措置に報復しなかった国は「報われる」としている。
トランプ大統領はその後記者団に対し、報復しなかった国々に対する相互関税の一部を90日間停止するが、報復措置に動いた中国に対する関税引き上げを決定したと説明した。
ベッセント長官は、停止措置が各国を交渉のテーブルに着かせるための当初からの計画だったと主張。しかし、トランプ氏はその後、2日の発表以来、市場がパニックに近い状態に陥ったことが自身の考えに影響したと指摘した。
ただ関税を巡り幾分不安が広がっているようだと認めつつも、最終的には中国を含む多くの国々と貿易協定を締結できるという持論を改めて表明。「中国はディールをしたがっていると思う。どのように事を進めるべきか理解していないだけなのだろうが、いずれ理解するだろう」と述べた。
今回の停止措置はすでに実施されている自動車、鉄鋼、アルミニウムへの関税には影響しないとみられる。また、ホワイトハウス当局者は、メキシコとカナダからの輸入品には適用されないと明らかにした。
アジア・ソサエティのダニエル・ラッセル副会長は「中国は、毅然とした姿勢で圧力を吸収し、トランプ氏に強硬策を取らせるという戦略を変えないだろう。中国は譲歩を弱さとトランプ氏が見なしていると考え、譲歩はさらなる圧力を招くだけと考えている」と述べた。
また、中国以外の国は90日間の停止措置が継続すれば歓迎するだろうが、常に行ったり来たりする政策で企業や政府が嫌う不確実性がさらに高まると懸念した。
<株価急騰>
停止措置の発表を受け、米株は急騰。S&P総合500種は9.5%上昇し、1日の上げ幅として2008年以来の大きさとなった。
東京市場でも日経平均が一時約9%上昇した。
アナリストらは、この日の株価急騰でこれまでのダメージが全て元に戻るとは限らないとみる。ロイター/イプソスの調査によると、米国人の4人に3人が今後数カ月で物価が上昇すると予想している。
ゴールドマン・サックスは、景気後退(リセッション)の確率を65%から45%に引き下げた。ただ関税措置が残れば税率全体で15%上昇する見込みだという。