周りを生かせず孤軍奮闘してしまう人へ...「お通夜」会議をなくす「問いかけ」の手法
課題はミドルマネージャーの育成
── 最近、企業から寄せられる相談について共通する傾向や特徴があればお教えいただけますでしょうか。
以前、私が関わった記事で「コロナ禍は、多くの企業にとって自社の理念を見つめ直す機会になったはずだ」との記載がありましたが、まさに、コロナ禍に見舞われた2020年から、その記事が公開された2021年春ごろまでは、「自社の理念を定義しよう」というプロジェクトの相談が多く寄せられました。「パーパスをどうする」とか「理念はどうあるべきか」といった内容ですね。
そのため「理念開発」や「理念浸透」といったニーズがありましたが、最近はそのトレンドが変わりつつあるような印象を受けます。
── コロナ禍が一つの節目になって、さらに直近でも変化があるんですね。具体的にはどのように変わったのでしょうか。
特に増えたのが、「理念と現場をつなぐ心臓・中核は何か」という視点で、「評価制度」を見直したいといった相談です。企業の中で、「何を大切にしているか」と「現場で働いている人のうち誰を評価するのか」という問いの一致点は、やはり評価制度なんですね。理念をあらためて掲げたものの、現場の実情や従業員の評価との間に乖離があるといった悩みを多く耳にします。そのため、まずは「評価制度を整えよう」「評価制度を再定義、再策定したい」といった問い合わせがとても増えています。
それに連動して能力や評価を再定義した結果、マネージャーの仕事が変わり始めています。そして結局、人としての中核はミドルマネージャーということになり、ミドルマネージャーの役割を再定義し、育成し直すといったニーズが高まっていますね。
── どういった企業からの相談が多いですか。
歴史のある大企業もそうですし、従業員が1000人程度のメガベンチャーからの相談も多いですね。それが最近、2022年の傾向です。
100年前の名著
── 人生で感銘を受けた本があればお教えください。
とても古い書物で、ジョン・デューイの『経験と教育』ですね。
実際に書かれたのは100年近く前で、人間がいかに経験から学ぶべきか、いかに学校が分断しているかなど、当時の社会を批判的に捉えたものです。