最新記事

ビジネス

周りを生かせず孤軍奮闘してしまう人へ...「お通夜」会議をなくす「問いかけ」の手法

2022年7月29日(金)17時07分
flier編集部

── 研ぎ澄まされた言葉なんですね。

はい。突き詰めていくと、チームのポテンシャルを発揮するには「こだわり」を育て、「とらわれ」を疑う、そのうえで「フカボリ」と「ユサブリ」をするということです。

メンバー一人ひとりの「こだわり」は「創造性の源泉」である一方、その「こだわり」や理念、目的が「とらわれ」になっていないかも疑い続ける。それが「チームのポテンシャルが発揮されている状態」だと、本書では説明しました。

極限まで言葉を削ってシンプルにしたこれらのひらがなとカタカナの表現は、私の中でもこだわりの部分ですね。

220729fl_azq03.jpeg

問いかけの作法
 著者:安斎勇樹
 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
 flierで要約を読む

220729fl_azq04.jpg

問いのデザイン
 著者:安斎勇樹、塩瀬隆之
 出版社:学芸出版社
 flierで要約を読む

比較による相対化が言語化のカギ

── 以前、flier book laboのメンバー向けに、「言葉になりづらい技の言語化」が安斎さんの研究者としての強みであり、趣味であり、ライフワークだと話されていました。単刀直入に、「言語化するコツ」はどういったものでしょうか。

大きく2つあります。

1つ重要な点は、比較によってしか言語化はできないという観点です。「できる人」と「微妙にできない人」の違い、あるいは、できるようになった自分とできなかった1年前の自分のファシリテーションの違いなど、その差分の中で考えるということですね。

「去年はできなかったけど、今できるようになったことは何なのか」「あなたはできて実際に教えてもいるけれど、部下ができないことは何なのか」と、やはり比較対象との相対化を通じてしか、ミクロの技はあぶり出されないと思います。

そのステップを飛ばして、上手な人に「何に気を付けていますか」などと尋ねても、抽象的な答えしか返ってきません。そして自分自身も理解できず、実践もできないということになってしまいます。

── なるほど。比較して相対化するのですね。

はい。もう1つは、どのように言語化するか、まとめ方のパターンを知っていることも重要です。

例えば料理で説明しましょう。調理法を時系列で説明するやり方がレシピですよね。しかし、調理の説明方法は時系列だけではありません。例えば、プロの料理人の3つの工夫を並列し、一個一個独立させて羅列するやり方もあるでしょうし、「いつもより味が乱れているな」といった問題の状況、シチュエーションに合わせて処方箋を示す記述のし方もありますね。

一口に言語化と言っても、時系列のモデルが適しているのか、良い料理の条件を示したいのか、作り手のマインドセットを強調したいのか、言語化する方法について、適切な形式を選択することがコツかもしれませんね。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中