成功する情報発信に共通する「ナラティブ」とは、戦略PR第一人者が解説
ティッピング・ポイントとは、あるムーブメントが一気に広がる劇的瞬間のこと。たとえばニューヨーク市の犯罪率が急低下したメカニズムを、複雑系、ネットワーク理論によって鮮やかに解き明かしていくのです。
本書を手に取ったのは、この本の邦訳書が出たのは2000年頃で、ちょうど私がPR会社に転職して1年ほど経った頃。PRの可能性を感じていたものの、目の前のタスクに追われてモチベーションが下がりかけていた時期でした。ところが、この本を読んで、ある人物や現象が流行する原因がいかに体系化されているのかと驚き、「ワクワクするとはこういうことなのか」と目を見開かされました。本来PRは人をワクワクさせるものだという原点に立ち返らせてくれた本だといえます。
本書の影響は2009年に初の自著『戦略PR――空気をつくる。世論で売る。』(以下、『戦略PR』)にも及んでいます。『戦略PR』ではワクワクするムーブメントを生み出すことで、広告業界の人たちをPRの世界に巻き込むことができました。
「PRの時代」といわれ続けていますが、それがコロナ禍でより具体化してきました。今後ナラティブの理解と実践を促進していくことで、PRの力がもっと世の中に広がっていってほしいですし、その取り組みに挑戦し続けていきたいですね。
本田哲也(ほんだ てつや)
本田事務所代表取締役、PRストラテジスト
「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に『PRWEEK』誌によって選出されたPR専門家。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードに入社。2006年にブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。2009年に『戦略PR』(アスキー新書)を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。2019年より株式会社本田事務所としての活動を開始。著書に『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力』(東洋経済新報社)、共著に『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。国連機関や外務省のアドバイザー、Jリーグのマーケティング委員などを歴任。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。
flier編集部
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