東京五輪延期、スポンサー80社が契約対応に苦慮 追加費用に懸念も
今年7月から開催するはずだった東京オリンピック・パラリンピック大会(東京五輪)が「1年程度」の延期という異例の展開となり、スポンサー企業の多くが契約への対応に苦慮している。写真はお台場で、25日撮影(2020年 ロイター/Issei Kato
今年7月から開催するはずだった東京オリンピック・パラリンピック大会(東京五輪)が「1年程度」の延期という異例の展開となり、スポンサー企業の多くが契約への対応に苦慮している。新型コロナウイルスがパンデミック(世界的な大流行)化する中、大会中止を回避できたことには安どの声があるものの、感染拡大で本業が打撃を受けている企業も多く、追加の費用負担は厳しいとして契約延長に不安も広がっている。
「追加費用、支払うつもりない」
「追加費用を請求されたとしても、支払うつもりはない」――。あるスポンサー企業の関係者はこう強調する。同社は東京五輪開催時の特需を取り込むため、すでに多額の費用を投じてキャンペーンや戦略を打ってきただけに、大会が延期されたからと言ってスポンサーを降りるわけにはいかない。しかし、新型コロナ感染拡大で本業はすでに大きな痛手を負っており、追加費用を負担する余力はないという。
大会組織委員会(組織委)やスポンサー企業関係者らによれば、スポンサー契約の内容や期間などは各社さまざまだが、複数の国内スポンサー企業が今年末に契約期限を迎える。大会延期で契約期間の延長や契約更新、追加の協賛金支払いなどが必要となる見通しで、各社は組織委などと個別に交渉することになる。
延期に伴う追加費用は、会場や宿泊先の再確保、組織委のオフィス賃料など「総額で数千億円規模」(組織委関係者)と試算されている。しかし、誰がどのように負担するのかまだ不明だ。開催都市の東京都、国、組織委もすでに予算をほほ使い切っているため、スポンサー関係者の間では「追加費用を迫られる」との懸念が強い。
スポンサー契約継続に慎重な声も
五輪のスポンサーには4種類ある。国際オリンピック委員会(IOC)と直接の契約を結んでいる最高位パートナーの「ワールドワイドオリンピックパートナー」にはトヨタ自動車など国内外14社が名を連ねており、東京五輪後もスポンサーを続ける。
このほか、東京五輪のみを対象にした国内スポンサーとして「ゴールドパートナー」、「オフィシャルパートナー」、「オフィシャルサポーター」があり、最高位パートナーと合わせ、80社近くが契約を結んでいる。
オフィシャルパートナーである東京ガスの内田高史社長は25日の会見で、現状を考えれば延期は妥当な措置としつつも、スポンサー契約については「もし継続するなら、追加でどれくらい支払わなければならないかなどを伺ってから検討したい。今の時点では明確な答えはない」と明言を避けた。
別のスポンサー企業の関係者は、今の契約に「変更が必要か、現状のままでいけるのか、どこまで今の契約でカバーされるのか、すべて調整が必要だ」と指摘。「当社は契約を延長すると思うが、追加費用が発生するので、一部のスポンサーは止めてしまうところもあるかもしれない」とも話している。