「厳冬期」の中国映画業界、新型ウイルス感染拡大がとどめ刺す?
中国の映画産業は、厳しい検閲、脱税の取り締まり、政府による新たな規制が、この業界で働く人々の雇用機会を奪ってきた。写真は2018年4月、山東省青島の映画館で撮影(2020年 ロイター/Aly Song)
中国の映画産業は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前からすでに「厳しい冬」と呼ばれる惨状を呈していた。厳しい検閲、脱税の取り締まり、政府による新たな規制が、この業界で働く人々の雇用機会を奪ってきた。
新型肺炎は、この惨めな状態に拍車をかけたに過ぎない。
感染拡大を食い止めるため、中国全土の映画館は閉鎖され、大ヒットが期待されていた新作映画7本が、春節(旧正月)休暇に予定していた封切りを延期、あるいは中止した。
春節連休入り前日の1月24日、政府が大勢の人が集まる催しを見送るよう警告して以来、中国の映画興行収入は無きに等しい状態だ。業界団体は俳優らに、通知があるまで仕事に復帰しないよう要請した。
音楽プロダクション兼投資会社、太合娯楽集団のQiu Hongtao副社長は「中国の今年の興行収入は、コロナウイルス感染拡大の影響で昨年の半分に落ち込むだろう。危険が去るまで、だれも映画館には行かない」とロイターに話した。
「相当多くの映画館がつぶれるだろう。俳優や女優は仕事が無くてもなんとかやっていくしかないが、映画館は賃料や運営費の負担に押しつぶされる」──と予測した。
新型肺炎の拡大を受け、一部の製作会社は異例の措置に出て物議を醸している。
歓喜伝媒集団は、新作の製作費として6億3000万元(9000万ドル)を拠出してもらうのと引き替えに、大ヒットが期待されていたコメディー映画「ロスト・イン・ロシア」を北京字節跳動科技(バイトダンス・テクノロジー)のオンライン・プラットフォーム上で無料で公開。中国の映画界では、これに怒りの声が巻き起こった。
武道コメディー「燃えよデブゴン」の製作会社も同様の措置を取り、動画配信サービス大手 iQiYi(アイチーイー・爱奇艺)は、無料でオンライン公開すると発表した。