「クリエイティブ51、ビジネス49」をバランスさせる経営
トップマネジメントが備えるべき"おわび機能"
何か事が起きたときに問われるのは、クリエイティブに携わる人とビジネスを見ている人の信頼関係です。だから両者のコミュニケーションは大事なんです。コミュニケーションの中で相互の信頼関係が確かなものになる。もっといえば、両者は相互依存関係にあるんですよ。ドワンゴという会社がなければできないことが増えてきて、クリエイティブがいなくなっても、マネジメントがいなくなっても事業が続けられない、そういう会社の規模になってきました。
ドワンゴという会社が実現していること、提供している場をみんなで守ろうぜと、僕も役員も思っています。そんなふうにみんなが思ってくれれば、それがすなわち会社に対するロイヤリティーだと思う。僕らお偉方の言うことを聞くことはロイヤリティーでもなんでもなくて、いま自分たちが実現している価値に対するロイヤリティーを持ってくれればそれで十分なんです。
そのうえでそれぞれの立場で頑張ればいい。僕は社長という機能だし、クリエイターの機能もあれば、営業の機能もある。そういうものが組み合わさって全体ができる。そういう意味で、僕は"おわび機能"を搭載した社長なんです(笑)。チーム・ドワンゴが挑戦をやめずに進化し続けるために、それはマネジメントのトップに欠くべからざる機能だと思っています。
WEB限定コンテンツ
(2015.3.31 中央区のドワンゴ本社にて取材)
※インタビュー後編:部門ごとの働きやすさを追求、社員を「全員主役」にするオフィス はこちら
株式会社ドワンゴはインターネットにおける総合エンターテインメント企業として、コンテンツ及びシステムの企画、開発、運用、サポート、コンサルティングを展開。1997年設立。2014年10月に株式会社KADOKAWAと経営統合し、持株会社である株式会社KADOKAWA・DWANGOの完全子会社となる。なお、株式会社KADOKAWA・DWANGOは2015年10月に「カドカワ株式会社」に商号変更。http://info.dwango.co.jp
* niconico
プレミアム会員(有料会員)数は244万人(2015年3月現在)。ユーザーの投稿動画から別のユーザーが二次、三次の創作を行い独自の文化を形成している。また、生放送では「ネット党首討論会」や「将棋電脳戦」などが注目を集めている。
** ニコニコ超会議
幕張メッセで行われるniconico最大のイベント。「ニコニコ動画を地上に(だいたい)再現する」をコンセプトに、ネットとリアルが融合したさまざまな企画が展開される。2015年4月に行われた第4回目は来場者はのべ15万1,115人、ネット来場者数はのべ794万495人に上った。
荒木隆司(あらき・たかし)
株式会社ドワンゴ代表取締役社長。1957年生まれ。東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)、投資顧問会社などを経て、エイべックス(現・エイべックス・グループ・ホールディングス)上級執行取締役に就任。2006年ドワンゴ社外取締役を兼務。2009年エイベックス・グループ・ホールディングス代表取締役専務。2010年4月エイベックス・インターナショナル・ホールディングス代表取締役社長。2012年11月よりドワンゴ代表取締役社長に就任。