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コラム
風刺画で読み解く「超大国」の現実 Superpower Satire
「ありがとう日本」中国人のワールドカップ反省会
(c)2018 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN
<必死の日本チームがアジアサッカーの尊厳を守ってくれた――中国人のそんな感動の裏には中国サッカーへの残念な気持ちが含まれている>
「ありがとう! 日本チーム」
いつもは反日の政府系タブロイド紙、環球時報にまで、サッカー・ワールドカップで活躍した日本をたたえる記事が転載された。「さすが日本!」「日本こそアジアの光!」「やっぱり日本が大好き!」──SNSにもこんな投稿があふれた。投稿者はもちろん中国人のネットユーザーたち。
決勝トーナメントで日本はベルギーに敗れたが、「日本隊値得尊敬(日本代表を尊敬すべき)」という言葉は、SNS新浪微博(シンランウェイボー)のトレンドトピックのトップ5に入った。
不思議なことだ。ついこの間まで誰かが「日本が好き」と言ったら、すぐに「中国人のくず、恥知らずの精日(精神的日本人)」と罵倒されたのに。なぜW杯が始まって以来、みんなが口をそろえて日本賛美を始めたのか。
「1万種類の戦術を持つチームなど怖くない。1種類の戦術を1万回練習したチームこそが怖い」と、中国メディアは語った。日本のFIFAランキングは61位、相手は3位のベルギーだ。1種類の戦術を1万回練習したチームは日本よりほかにないことを、日本・ベルギー戦で中国人たちは知った。体力と身長は欧米に負けても、精神と根性は誰よりも強かった。必死の日本チームこそアジアサッカーの尊厳を守ってくれた。
その感動の裏には、中国人の残念な気持ちが含まれている。同じアジア人なのに、なぜ中国のサッカーは駄目なのか。中国人はサッカーを愛していないのか。
「そのとおりだ。中国人は本当はサッカーを深く愛していなかった。愛は魂の中から生まれるから」。ある中国人サッカーファンの父親は、アルゼンチンが負けたのを見て大泣きしたメッシファンの娘にこう言った。表面のカッコいい部分だけ好きになっても駄目だ。誰も拍手してくれないところで、1つの戦術を1万回根気強く練習することこそサッカーへの真の愛。いつか中国人がこの真の愛を持てば中国サッカーも強くなる。
「中国サッカーが日本みたいになれるのなら、私たちも日本人サッカーファンみたいに喜んで競技場へごみを拾いに行くわよ!」。微博で中国人サッカーファンはこう投稿した。「でも、今の中国サッカーはごみそのものだからさ!」
【ポイント】
精神的日本人
精神的に自分たちを日本人と同一視する中国人。中国を軽蔑し、日本軍のコスプレなど中国人の嫌がることをする
可燃垃圾/钓鱼岛是中国的/打倒小日本/干死日本
それぞれ「可燃ごみ」「釣魚島(尖閣諸島)は中国のものだ」「日本野郎を打倒せよ」「日本死ね」
<本誌2018年7月24日号掲載>
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