コラム

またも暴かれたカトリック神父の児童性的虐待(パックン)

2018年08月31日(金)16時15分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

(c) 2018 ROGERS─ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<教会では絶対的な存在の神父による児童約1000人への性的虐待がペンシルベニア州で発覚。ほとんどの件は時効のために起訴されることはないが......>

「被害者のほとんどは少年だが、少女もいた。10代の子も、思春期前の子もいた。アルコールやポルノで操られた子供もいた」

先日発表されたペンシルベニア州の大陪審の報告書から、こんなショッキングな文章が飛び出てきた。同州で70年以上にわたり、300人以上の神父が1000人以上の子供に働いた性暴力の話だ。具体的描写も報告書にあるが実に気分が悪いものなので、敏感な方は次の2段落は読み飛ばしてください。

「加害者の性器を触り自慰を手伝わされた、または加害者に触られた子供もいた。口や膣、肛門を犯された子供もいた」

これは「前書き」の3行にすぎない。1356ページにわたる報告書は極悪非道な行為を無数に挙げている。5姉妹を犯した神父。児童ポルノを作成し交換した複数の神父。15人の少年を犯した神父。扁桃腺を摘出した7歳の少女を見舞い、病院で犯した神父。こんなに吐き気がする大陪審の報告書は見たことがない。

しかし、ここで問題にされているのは個人ではなく、被害者よりも神父をかばった教会だ。「(被害者は)全員、加害者や組織を守ることを優先した州各地の教会管理部に見捨てられた」と、大陪審員は怒りをあらわにしている。

カトリックの教えでは、神様の権威はローマ法王から司教経由で神父に伝わるもの。神様の代表である神父は絶対的な存在だ。でも、その信頼を裏切った場合のほとんどにおいて、教会は警察に連絡せず、神父を罰することもなかった。問題の神父を違う教区に移動させる際、そちらの信者に知らせることもせず、だから新しい教区でも子供をレイプする神父もいたという。

もちろん、これは報告書の主張であるだけで、真否を問う裁判にかけられていないし、ほとんどの件は時効のため起訴されることはない。全て、疑いにすぎない話だ。でもボストンやアイルランド、フィリピンなどでも同じ「性暴力と隠蔽」のパターンが発覚している。報告書を信じる人は多いだろう。逆に神父、教会そして神様自体を信じなくなった人も多いと思われる。

僕は以前から信じていないが、この場合は神様が実在してほしい。裁判にかけられることのない加害者が死後に神様に裁かれ、彼らはぜひ地獄に落ちてほしい。

【ポイント】
LET US PREY...

「獲物にしましょう」(Let us Pray「お祈りしましょう」にかけている)

大陪審
市民から選ばれた陪審員で構成され、起訴するに足る証拠があるか審理する。裁判の陪審とは違い、捜査の一環

<本誌2018年9月4日号掲載>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏が閣僚刷新検討 イラン戦争が打撃 選挙控

ワールド

商船三井のLPG船がホルムズ海峡を通過 日本関係2

ワールド

ドバイの米オラクル施設に迎撃破片が落下、負傷者なし

ワールド

トランプ政権による大学への人種データ開示命令を仮差
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    イラン戦争は「ハルマゲドンの前兆」か? トランプ…
  • 5
    【写真特集】天山山脈を生きるオオカミハンター
  • 6
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 7
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 8
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 9
    中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 10
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story