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コラム
風刺画で読み解く「超大国」の現実 Superpower Satire
トランプが恩赦を連発する意図とは(パックン)
(c)2018 ROGERS─PITTSBURGH POST─GAZETTE
<自分の支持者に恩赦を与え、疑惑の関係者に自分を守るようメッセージを出しているトランプ>
Pardonは恩赦。裁判で有罪になった人を独断で許すことは米大統領の特権だ。犯罪者を解放するので、極めて慎重に行使されるものだ、普通は。ジョージ・W・ブッシュやバラク・オバマは大統領就任から2年ぐらいたって初めて恩赦の権限を使った。一方、ドナルド・トランプ大統領は1年と数カ月の間に6人を恩赦。次は「カリスマ主婦」マーサ・スチュワートに与えるという噂もあり、まるで整理番号のように配っていると風刺画が指摘している。
しかも、トランプが恩赦を与えるときは司法省のガイドラインに従わず、本来の手続きを踏まず、場合によっては本人からの恩赦申請を待たずにやったりする。つまり頼まれてもいないのに、大統領が率先して恩赦を与えている。サンタよりも優しい。手紙を書かなくても、クリスマスを待たなくてもプレゼントがもらえる。しかも、いい子じゃなくても!
トランプの恩赦には特定の傾向がある。対象者はトランプの支持者であること。FBIや特別捜査、またはニューヨークの連邦検察によって取り調べられ、起訴されていること。または捜査官に嘘をついたり、司法妨害に問われていたこと。全部じゃないが、この3つの条件は複数の恩赦の案件に共通している。
そこから逆算するとトランプの狙いがうかがえる。トランプ自身をめぐる捜査が今現在FBIの特別捜査やニューヨーク連邦検察によって行われている。その関連で、元安全保障担当大統領補佐官のマイケル・フリンや元トランプ陣営選挙対策本部長のポール・マナフォートなどトランプの側近4人が逮捕され起訴された。トランプの個人弁護士のマイケル・コーエンも家宅捜索を受けた。みんな脇役にすぎないが、司法取引大国の定番としては、脇役の求刑を軽くしたりする代わりに主人公に関する証言を引き出すことができる。
トランプはこれまでの恩赦を通して、「俺の支持者が偽証しても、裁判命令に従わなくても、司法妨害をしても、俺が解放してやる」というメッセージを伝え、自分に都合のいい証言を促しているようだ。法を守らなくても、トランプを守れば大丈夫! 捜査が続くなか、恩赦が欲しい人が行列を作りそうだ。
おまけに、先日トランプは自分自身にも恩赦を与えられる「絶対的な権限」を主張した。風刺画でご満悦の様子の大統領。自分の「恩赦整理番号」はもう確保済みなのではないか。
【ポイント】
TAKE A PARDON
恩赦整理番号をお取りください(「Take a number = 番号札をお取りください」にかけている)
<本誌2018年6月19日号掲載>
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