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コラム
風刺画で読み解く「超大国」の現実 Superpower Satire
アメリカ大統領は「最高共感官」でなくちゃ
©2017 ROGERS─PITTSBURGH POST─GAZETTE
<米兵の遺族やハリケーン災害の被災者に共感を示せないトランプは、大統領として落第点!?>
Commander in Chief は軍の最高司令官で、米大統領の別称。風刺画の Compassioner in Chief(最高共感官)は造語だ。だが、戦死者の遺族や自然災害の被災者など、苦しんでいる国民を慰めたり、共感を示すのは大統領の大事な仕事。最近、そうした場面があったが、トランプ大統領の対応は最高だったと本人は思っているようだ。
風刺画を左から見ていくと、まずはニジェールで米兵4人が武装勢力に殺されたときの場面。トランプは遺族に電話を入れたが、妻の1人は「入隊したことで、本人は覚悟していただろう」と言われて傷ついた。大統領が戦死した夫の名前を知らなかったことで、さらにムカついたという。ちなみにトランプは6月に別の戦死者の父親に、自分の口座から2万5000ドルをあげると約束した。もちろん小切手は送ったよ。その約束が新聞に出た10月に。たまたまその日に気が付いたのか?
次は、超大型ハリケーンが自治領プエルトリコを直撃した後。トランプは現地に駆け付け、避災者にペーパータオルを放り投げて配った。失礼な振る舞いだと突っ込まれた彼は「楽しかった。彼らも楽しんでいた」と弁解(?)。1カ月たった今も島の約8割が停電中で、住民の約3割は安全な飲み水がない状態だが、トランプは政府の対応を「10点満点!」と絶賛。これにはプエルトリコの首都サンフアンの市長も「10点です」と同意した。「100点満点ならね」
最後に、58人が亡くなったラスベガスの銃乱射事件。トランプは失言も非常識な態度も見せていない! そこに驚くこと自体がおかしいけど。しかし銃規制などの再発防止策は提案していない。「ラスベガス銃乱射の犠牲者たちはアメリカで外出したことで、覚悟していただろう(The gun victims in Las Vegas knew what they were signing up for when they went outside in America.)」と考えているようだ。
どのケースも国民が亡くなっており、大統領は厳かに対応するべき。だがトランプは慰霊というより、異例の対応を見せている。トルーマン大統領の机には The buck stops here.(責任転嫁はしない)と書かれたプレートがあった。トランプの場合は The empathy stops here.「共感しない」だね。
【ポイント】
I MAKE THE BEST CONDOLENCE CALLS TO GOLD STAR FAMILIES...OBAMA NEVER WOULD'VE CALLED YOU !
「戦死者の家族にこれまでで最高のお悔やみの電話をかけている。オバマ大統領なら、あなたに電話しなかったでしょう」
WE'RE DOING GREAT IN PUERTO RICO...THEY'LL BE TALKING ABOUT MY PAPER TOWEL-TOSSING SKILLS FOR YEARS!
「われわれはプエルトリコで素晴らしい対応をしている。私がペーパータオルを投げる腕前は、何年も語り草になるだろう」
<本誌2017年11月7日号掲載>
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