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通信社的な職人芸から生まれた、ミニマリズムのインスタグラム
From Gabriel Bouys @gabrielbouys
<通信社タイプの写真家の作品は、単純化され没個性的になりがちだが......なぜAFPのガブリエル・ブワはこのような写真を撮れるのか>
今回取り上げる写真家は、AFP(フランスの通信社Agence France-Presse)のガブリエル・ブワ。南フランスにあるベジエ生まれの56歳で、現在はスペインのマドリードのAFP写真部のチーフである。
今までは、一般にワイアーと呼ばれる通信社タイプ(AFPの他にAP、ロイター、Gettyなど)の写真家は紹介してこなかった。彼らは基本的に、最大公約数のオーディエンスを満足させ、日々のニュースを迅速に追う写真家だ。
その作品は、偉大なる職人芸とも言えるが、分かりやすく単純化されていて、その中で情報を最大のポイントにしなければならないせいか、往々にして予定調和で終わっており、没個性的にもなりがちだったからだ。
とはいえ、「決定的瞬間」というもう1つの大きな写真要素を、彼らほど肝に命じている写真家もいないだろう。単純化も含め――この要素は諸刃の剣的な特性を持っている――そうした職業的属性は、時として非常に優れた写真家を生み出す。ブアもその1人だ。
通信社タイプの写真家であるだけに、ブアはスポーツやイベントものを得意とする。2000年にはローマ法王のポートレートでワールド・プレス・フォト(世界報道写真コンテスト)の3位に入賞した。望遠レンズを好み、撮影では、ミニマリズムとディテールという2つのポイントを大切にしているという。ディテールが気に食わないときは、その写真自体を消去してしまうこともあるそうだ。
ミニマリズムとディテールは、実のところ、ブアの写真の最大の魅力だ。彼は、ファインダーの中に飛び込んでくる決定的瞬間に反応して単にシャッターを切っているだけではない。その瞬間にその被写体、あるいは他の要素にまとわりついているディテールを見極めながら、シャッターを切っているのである。
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