- HOME
- コラム
- Instagramフォトグラファーズ
- 【動画】生き物のような耽美的空間 ダンスそのものを…
【動画】生き物のような耽美的空間 ダンスそのものを超えようとする映像作家
だが、有名なコリオグラファーたちの作品を何年かかけて分析し、研究した。そしてダンスカンパニーとの撮影では、コリオグラファーと密に話し合うという。ちなみに、彼に極めて大きな影響を与えたコリオグラファーは、モダンダンスの伝説的アイコン、故ピナ・バウシュだ。作品の中にもそれが読み取れる。
ダンサーたちに対する彼の考え方も、ヴァスタの作品を理解する上で重要になってくる。彼が作品でフォーカスしたいのはそのムードと演出だが、自身の作品づくりの場合でも、独りよがりではない。ダンサーたちとのコラボレーションとしての、ムードと演出だ。そして、それゆえヴァスタは、「作品づくりで最も重要なことは、ダンサーの創造性を見つけ出すこと」と語る。
イタリアの古典とルネサンスの美学に子供の頃から影響を受け、無意識かもしれないが、常に耽美性が作品の中枢に流れ入るヴァスタ。しかし、その信念は多くのアーティストと同じく、時にポリティカルである。愛や風景でさえ、そうなるという。
そして、Ludovico Schillingとコラボレーションした、反人種差別のメッセージが組み込まれた作品「Dance Against Racism」を作った理由について聞くと、ヴァスタはこう答えた。
「個人にさえ政治的な義務がある――とりわけ現在は。世界で何が起こり、我々の行動がどんな影響を生み出すかを知らなければならない。アートも人間性(Human Condition)について、それが政治的であろうがなかろうが、何かを語っていくべきだ」
ヴァスタのダンスと映像の模索は、ある種まだ始まったばかりなのである。
今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Angelo Vasta @angelo_vasta
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
この筆者のコラム
未婚女性やバーニングマン......決して一線は越えない「普通の人」たち 2020.03.13
iPhoneで撮影、北欧の「瞬間」を切り取る20歳のストリートフォトグラファー 2020.02.13
「男が持つ邪悪性をドキュメントしてきた」現代を代表する戦争写真家クリストファー・モーリス 2020.01.16
「アカウントは2回消した、それでも飽きない」本職はビル管理人のフォトグラファーは言う 2019.12.16
トランプ政権誕生でワシントンへ「全てはこのための準備に過ぎなかったとさえ思う」 2019.11.23
世界的な写真家が「魔法的な構図の創作者」を超えた写真 2019.10.27
日本の路地を彷徨い、人生が変わった「不思議と迷わなかった」 2019.09.27