焦点:対日「相互関税」24%、EU超えに政府困惑 解決の糸口見えず

4月3日、 トランプ米政権が発表した日本への相互関税が24%となった。写真は米ワシントンの街頭に掲げられた日本と米国の旗。2024年4月撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama Yoshifumi Takemoto
[東京 3日 ロイター] - トランプ米政権が発表した日本への相互関税が24%となった。日本が米国に対し46%の関税をかけていると主張する根拠は不明瞭で、欧州連合(EU)を超える税率となったことに政府関係者からは困惑の声が上がる。日本政府は米経済へのこれまでの貢献をアピールし、譲歩を引き出す考えを崩していないが、解決の糸口は見えていない。
<想定上回る税率>
「EUを上回る税率となったことに驚いた」。ある経済官庁幹部は相互関税の発表を受け、戸惑いを隠さない。
日本政府は、トランプ政権が発足した直後から閣僚級の協議を重ね、関税措置の対象に日本を含めないよう申し入れてきた。ところが、1)鉄鋼・アルミ関税、2)相互関税、3)自動車関税のいずれも対象となり、相互関税に至っては公表された税率が「想定を上回るものだった」という。
米側は、日本が米国に対し46%の関税を課していると主張しているが、税率の算出根拠もあいまいで「どう計算すればそうなるのか」と別の政府関係者は首をかしげる。
相互関税の公表に先立ち、武藤容治経済産業相は3月10日に訪米。ラトニック商務長官、グリア通商代表、ハセット国家経済会議委員長とそれぞれ会談した際は「おおむね好感触との受け止めだった」(経産省幹部)とされる。
ただ、思惑通りに進まない現状に「日本側の意向がうまく伝わっていない。経産(省)、外務(省)が中心となって打開を図ってきたが、立て続けに押し込まれている」(別の経済官庁幹部)との声もくすぶる。
<対話姿勢崩さず>
とはいえ、報復関税の応酬は「双方の利益にならない」(複数の経産省幹部)との声が、政府内ではなお根強い。
国際ルール上は、重大な損害を救済する緊急関税制度(セーフガード)に基づき対抗する選択肢もある。ただ、今のところ日本政府は世界貿易機関(WTO)への申告を行っていない。
措置が先行した鉄鋼・アルミでは5月中旬までに申告期限を迎えるが、当面の間は「粘り強く対話を続けるしかない」(経産省幹部)との声が残る。
相互関税の公表に先立ち、対応策を協議した自民党の「日米関係の深化に関する総合戦略本部」では、出席者から「今回の措置が中期的にみて米国の利益にならないことを伝えていくべき」との声が上がった。
政府内では「急いで新たな交渉カードを切れば朝貢外交となる」(前出の経済官庁幹部)と警戒する声もある。数カ月もすれば米経済が痛み「関税措置が撤回されることもあり得る」と別の関係者は言う。
<国内対応も課題>
自動車関連への追加措置では、自動車部品への関税も段階的に課されることが想定され、与党からは「日本経済の大きな危機になる」(小野寺五典政調会長)との声が聞かれる。
経産省がまとめた資料によると、米国での自動車販売台数1600万台(2023年)のうち、日系企業は560万台に上る。
輸出台数は日本に加え、メキシコやカナダからの輸出も含めると300万台に迫り、関税分を値上げで吸収した場合は「米国市場の縮小、日本からの輸出台数減による国内経済への影響」があるとしている。
自民党の森山裕、公明党の西田実仁両幹事長は1日、政府に対し外交と内政両面で対策を求めることで一致した。基幹産業の不振は景気の腰折れに直結しかねず、外交と並行して政府がどう対策を講じるかも今後、課題となる。