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「何を撮るかでさえ重要ではない」と、豪州の強烈な陽光の下で
また、主題となる人物の描写は、群れから離れた人、とりわけビーチでのシーンが多いが、単純にハッピーに見えるだけのものは存在しない。ある種、抑圧的な匂いさえ付随している。そうしたことも、すべてシドニーというメガ・シティーが必然的に孕み、生み出している人間社会の現実から来ている、とアンダーセンは言う。
【参考記事】ビーチ・ライフがアイデンティティ形成に果たす役割
アンダーセンの写真の多くは、彼のインスタグラムや、最近出版した写真集『Rage Against the Light』(2013年から2015年にかけて撮影したシドニーの作品) に見られるように白黒写真だ。ライカを使ってフィルムで撮ったもの、フジのデジタルカメラで撮ったもの、あるいはiPhoneで撮影したものという具合に、意図的にいろいろな撮影フォーマットやメディアを使っているが、コンセプトは一貫している。とりわけ写真集は、すべての写真が同じフォーマットで撮影したと思えるほどだが、それもコンセプトがあるためだ。
カメラは単なる道具に過ぎず、大切なのは己の眼である、と訴えるためである。何を撮るかでさえ重要ではなく、最も大切なのは自分の世界をいかにフレームして切り取るかということ。ちなみに、12月には、オーストラリアでもっとも人種が入り混じり多様性に富んだ街の1つであるカブラマタを、強烈な陽光に焦点を当てながらドキュメントしたカラーの写真集『Cabramatta: a moment in time』も出版される予定だ。
今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Markus Andersen @markusxandersen
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