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新聞社の元・報道写真家がSNS時代に伝える「写真を超えた何か」
加えて、キャプション欄にはほぼ常に、著名人の引用が付け足されている。それはコッチの写真と相重なって、静的か動的かを問わず、よりエモーショナルな相乗効果を生み出している。
とはいえ、テクニックを駆使し、自らのパーソナルな感情をも追い求めているその作品は、彼のキャリアを知っている者にとっては驚きだろう。なぜならコッチは、過去15年以上もサンホセ・マーキュリー・ニューズという新聞社で、スポーツや日々の事件の決定的瞬間をカラーで撮影する典型的なフォトジャーナリストとして働いてきたからだ。
【参考記事】世界報道写真入賞作「ささやくクジラたち」を撮った人類学者
だが彼自身には、過去と現在の間に葛藤はない。人間は年齢とともに成長する、それに伴って写真が変わっていくのは当たり前だという。また、現在の彼の写真の基盤はストレートに写真を撮る新聞社時代に築かれた。加えて、当時からコッチは、クラシックな白黒写真のストリートフォトグラフィーで名を馳せたアンリ・カルティエ=ブレッソン、ヘレン・レヴィット、ウィリアム・クラインらを尊敬し、プライヴェートでは、自らもフィルムでストリートフォトを撮影していたという。
SNS時代のフォトジャーナリズムやフォトドキュメンタリーについても、彼はこう話す。SNSという大きなうねりがある今、写真にもそれを取り入れるべきだ――。コッチ自身、編集者やクライアントに恵まれた一面はあったにせよ、SNSを取り入れたからこそ幸運をつかめたという。マグナムのマット・ブラックやデビッド・アラン・ハービーも、SNSを巧みに利用し、それが2人のスタイルや写真そのものを、より個性的に、より力強いものにしていると、コッチは言う。
大切なことは、SNSやテクノロジーがどう発展していこうと、自らのヴィジョン、情熱、そのクリエィティヴ性を信じることだ。そして、最も大切なことは昔も今も変わらず、決定的瞬間を頭ではなくハートで撮ることだ、と彼は締めくくった。
今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Richard Koci Hernandez @koci
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