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難民キャンプで生まれ育ち、写真家になった男
トルコから海路でレスボス島に入った後、フェリーでアテネに向かう難民たち From mujtabajalali @mujtabajalali
運命的な出会いとか境遇、あるいは持って生まれたアイデンティティーそのものが写真家を大きく成長させることがある。かけがえのない財産になることがある。まだ24歳のアフガニスタン人であるムジュタバ・ジャラリは、そんなことを彷彿させてくれる写真家だ。そのテーマのすべては、マイグレーション(転住)、あるいは難民である。
彼の写真に初めて接したのは、昨年、時の大ニュースになった――今現在もだが――シリア、イラク、アフガニスタン、スーダン、ソマリアなどからヨーロパへの膨大な数の難民騒動の中でだった。リサーチ中に触れた大量の写真の中で眼に留まったのだ。
作品は、難民たちと同じルートで行動を共にして撮られていた。親近感と緊張感が非常に入り混じっていた。被写体と同じ目線、同じ境遇を体験してこそ撮れる写真だった。いやそれ以上かもしれない。彼の写真は難民たちの苦難を伝えていたが、そこには押し付けがましさなどはなかったからだ。他にも難民と行動を共にした写真家はいたが、そうした点で彼らとは明らかに違っていた。
彼の経歴を知って納得する。彼自身、イランの難民キャンプで生まれ育ったアフガン難民だった。戦争そのものは経験したことがなくても、常に戦争と難民問題が生活につきまとっていた。おまけに、3年前にカメラを購入した後、ごく自然にイラン国内の同胞アフガン難民を撮影するようになっていたが、そうした経緯の中で、イラン政府によってリクルートされ、シリアでアサド政権のために戦うことになり命を落とした若きアフガン難民たちも取材していた。
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