コラム

「You can use this Internet for free.」日本の無料Wi-Fi案内で見つけた妙な英語

2019年11月22日(金)10時55分

何のために5 hours afterにdisplayされるかが分からない

●You can use the internet for free.
5 hours after, this page is displayed again.

これもYouで文章が始まっています。上記で提案したThere is no charge...にするか、もしくはUse the Internet for free.だけでもいいと思います(Internetは必ず大文字で始まるのでご注意下さい)。

5 hours afterは不自然です。5 hours afterと書くのであれば、何の5時間後なのかを言う必要があります。例えば、5 hours after your first login.などと。しかしそれでは長いので、After 5 hoursをお勧めします。

なお、is displayedよりもwill be displayedのほうが正しいです。しかし、何のためにもう1度displayされるかが分かりにくいかもしれないので、再ログインが必要ということを説明するほうが親切でしょう。

結論としては、This page will be displayed again for re-login after 5 hours.とすれば自然に聞こえます。ただ、この英文も少し長いので、Re-login is required after 5 hours. のほうがより望ましいでしょう。

日本の大手航空会社なのに、短い文章に問題点が非常に多い

●Information of a fee-based Inflight Wi-Fi service
You can connect your smartphone, tablet PC and other Wi-Fi capable devices to Internet.
E-mail/Updating SNS/Web browsing

これはJALの機内誌で見つけた機内Wi-Fiサービスの案内です。短い文章ですが、問題点が非常に多い。それを1つずつ見ていきましょう。

・Information of a は不自然ですし、あまり意味がないので、ここでは削るべきでしょう。

・厳密に言うと、serviceも入れる必要はありません。Wi-Fiが機内に提供されているのであれば、何らかのサービスであるのは明白です。

・これもまた、文章がYouで始まっています。

・普通、英語ではtablet PCとはいいません。tabletだけで十分です(もしノートパソコンを指すなら、laptopと言います)。

・to Internetではなく、to the Internetが正しい表現です。

・上記で述べたように、英語ではSNSとは言わないので、updating SNSと言っても英語圏の旅行者はピンときません。social mediaに修正するべきでしょう。また、スペースが限られているので、updatingは不要。social mediaはそもそも、投稿を見たり近況をアップデートしたりするものなので、そこまで明記しなくてもいいのです。

・Web browsingより、Web surfingのほうがよく使われます。

この案内文は全体として、日本語から直訳されたという印象を受けます。

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 北九州市立大学英米学科グローバルビジネスプログラム教授。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『英語の品格』(共著)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著)など著書多数。最新刊は『マンガでわかる外国人との働き方』(共著)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

仏ロレアル、第1四半期売上高は9.4%増 予想上回

ワールド

独財務相、ブラジルのG20超富裕層課税案に反対の意

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、米金利上昇で 半導体関連

ビジネス

FRB当局者、利下げ急がない方向で一致 インフレ鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story