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「You can use this Internet for free.」日本の無料Wi-Fi案内で見つけた妙な英語
scanrail-iStock.
<不自然な表現やギクシャクしたフレーズ――。公共のWi-Fiサービスが増えてきたのはありがたいが、その説明文には英語の問題が多く見られ、意味不明となっているケースもある。どう変更すれば誤解を生まずに済むのか、ネイティブがチェックします>
私は日本国内を移動しながら、公共の無料Wi-Fiサービスを使うことがよくあります。便利ですし、日本の携帯電話を持っていない外国からの観光客にとっては不可欠なので、近年Wi-Fiがさまざまな場所で提供されるようになったのはとてもありがたいことです。
しかし、残念ながら、無料Wi-Fiのアクセスページなどの英語の説明文には理想的とは言えない書き方が頻繁に見られます。なかには日本人が英語でよく間違えるポイントも多く含まれているので、分析すれば良い勉強の材料になるでしょう。
皆様にとって参考になれば嬉しく思います。
SNSは英語ではない、mail addressとも言わない
新幹線のWiFiページの英語は不自然なので書き直したいです。
— ロッシェル・カップ (@JICRochelle) November 15, 2019
There is no charge for using this WiFi service.
However, registration is required (by email address or social media account).
Re-login is required every 30 minutes.
にすればもっと自然です。 pic.twitter.com/NMpei32N0y
●Shinkansen Free Wi-Fi
You can use this Internet for free.
You have to register your mail address or SNS account.
This page will be displayed after having used this Internet for thirty minutes.
このお知らせには複数の英語の問題があるので、1つずつ見ていきましょう。
・まず、口頭であれば文章をYouで始めることは多いのですが、書き言葉ではあまり使われず、かえってカジュアル過ぎる印象を与えてしまいます。
・this Internet とは普通言いません。Internetは1つしか存在しないので(※)、Internetが複数あることを示唆するthisの代わりに、1つだけということを示すtheを使います。なお、厳密に言うと、ここで提供しているのはWi-Fiサービスであり、インターネットではありません(そのサービスを通じてインターネットにアクセスします)。そのため、ここではInternetという単語を使わないほうがいいでしょう。
・for freeは間違ってはいませんが、これもカジュアル過ぎる言い方に聞こえます。
・英語ではmail addressとは言いません。email addressです。
・SNSは英語ではありません。英語ではsocial mediaと言います。
・will be displayed after having used...for thirty minutesは、非常にギクシャクした言い方ですし、意味も不明確です。
※Internetの説明について誤りがあったため訂正しました(2019年11月23日13:00)。
上記を踏まえて、このように書き直すと適切な仕上がりになるでしょう。
There is no charge for using this Wi-Fi service.
However, registration is required (by email address or social media account).
Re-login is required every 30 minutes.
ところで、なぜ無料のWi-Fiにアクセスするために、メールアドレスやSNSのアカウントを登録しなければならないのか、私には全く分かりません。それはセキュリティの面で良いとは言いがたいですし、使用方法がよりややこしくなるため使用者にとって不便でもあります。
私はいつも入力したメールアドレスが盗まれるのではないかと心配していますし、メールアドレスでもSNSアカウントでも匿名のものを簡単に作れるため――登録させるのはセキュリティのためだろうとは思うのですが――悪意のある人がもし何か問題を起こしても、その人を特定することはできないのです。
ほかの国は最近チェックしていませんが、アメリカの場合、メールアドレスなどの登録を求められることはほとんどありません(レストランや小売店舗の一部は、宣伝のためにフェイスブックでのチェックインを求めますが、それはとても少ないです)。
メールアドレスかSNSのアカウントを要求するのは、日本のリスク回避志向文化の表れや、security theater(セキュリティ対策を取っているように見せかけること)なのではないかと思いますが、是非再考してほしい習慣です。
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