コラム

失敗こそが、過去と違った原理で動く環境には必要/tackle(取り組む)

2018年08月27日(月)11時25分

www.ted.comより

【今週のTED Talk動画】
Smart failure for a fast-changing world
https://www.ted.com/talks/eddie_obeng_smart_failure_for_a_fast...

登壇者:エディー・オベング

我々が気づかないうちに世界のルールは変わってしまうため、過去に正解だったものはもはやそうではなくなってしまう――そう指摘するのは作家であり、ビジネススクールの教授でもあるエディー・オベング氏。

技術の進化は変化のペースが飛躍的に速くなっているし、世の中のさまざまな動きは乱流のようにうごめいている。そんな新しい環境で、イノベーションを求める社長は従業員に「リスクを取りましょう! クリエイティブになりましょう!」と言うものの、今までのルールにおいては少しのミスが命取りになるため、従業員にとっては「クレイジーなことをすれば、首にされる!」というのが正直な感想であるそうだ。

対策としてオベング氏が勧めるのは、新しいことをやってみたが完全に間違っていたという人がもしもいても、その人を褒めてピザでも奢ってあげること。成功した人よりも、トライしてできなかった人に感謝すべきだという。昔のやり方にはまらないで、進化することの大切さを指摘するエネルギッシュなTEDトークだ。

キーフレーズ解説

tackle
取り組む
(動画4:48より)

tackleという言葉の本来の意味は、アメリカンフットボールなどのスポーツでタックルすること、要するに相手を阻止したり取っ組み合ったりすることによって、ボールを取ろうとすることです。そして、そこから比喩的に、何かの難しい問題や複雑な課題に取り組むという意味で使われています。

アメリカンフットボールのtackleは、筋骨たくましく体が大きい選手が全力で自らの体を相手にぶつけていくイメージなので、何かをtackleするというとき、そこには力を使って本格的に戦うというニュアンスが強く含まれています。

このTEDトークで、オベング氏が言うのは、design thinking must tackle big systems(デザイン思考は大きなシステムに取り組む必要があります)というもの。

ここでいくつかこの表現を用いた例を紹介します:

●I'm going to tackle reorganizing my closets this weekend.
(クローゼットの整理にこの週末取り組むつもりです)

●Countries need to come together to tackle climate change.
(各国は一丸となって気候変動に取り組むために協力しなければなりません)

●I plan to get a good night's sleep and then tackle that big report in the morning.
(今夜はしっかり睡眠をとって、明日の朝にあの大きなレポートに取り組むつもりです)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、対米貿易黒字は「不可避」 米が関税継続なら戦

ビジネス

ユーロ圏成長率、米関税の影響は想定以上か ECB警

ビジネス

ECB、金融の安定を確保する用意=仏中銀総裁

ワールド

米関税は欧州経済に打撃、インフレへの影響不明=スペ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    【クイズ】ペットとして、日本で1番人気の「犬種」はどれ?
  • 4
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 5
    これが中国の「スパイ船」...オーストラリア沖に出現…
  • 6
    反トランプのうねり、どこまで大きくなればアメリカ…
  • 7
    流石にこれは「非常識」?...夜間フライト中に乗客が…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 10
    毛が「紫色」に染まった子犬...救出後に明かされたあ…
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 7
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 8
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 9
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 5
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story