コラム

超クリエイティブな人こそ、マルチタスクをしている/wrestle with(と格闘する)

2019年04月05日(金)10時05分

www.ted.comより

【今週のTED Talk動画】
A powerful way to unleash your natural creativity
https://www.ted.com/talks/tim_harford_a_powerful_way_to_...

登壇者:ティム・ハーフォード

相次いで成果を出している人の秘密はなんだろうか。このTEDトークでは、経済学者のティム・ハーフォード氏が有名な科学者や振付師、作家などの調査結果や、作品というアウトプットを分析することで、彼らのクリエイティビティの秘密を明らかにしている。

こういった成果物を多く生み出す人々は、1つのトピックに集中するのではなく、複数のテーマを同時に持ち、その中で頻繁にフォーカスをシフトしているのだとハーフォード氏は言う。そうすることによって頭脳を刺激し、行き詰まったときでも気分転換ができるため、結果としてこれが彼らの創造性に繋がっているというのだ。

「マルチタスクはよくない」と世間ではよく言われる。確かに、例えば運転しながらSNSでメッセージを送るのはよくないことであるが、スローモーションでマルチタスクをするのは実はよい習慣であるそうだ。

複数のことに興味を持ち、自分は手を広げ過ぎていると心配になっているような人にとっては、このTEDトークは安心できるものであるし、逆に刺激が足りないと感じている人には、新しいものへの挑戦を後押ししてくれる。彼のトークは多くの人が学びを得られる内容だ。

キーフレーズ解説

wrestle with
~と格闘する
(動画5:07より)

wrestleは動詞として、レスリングなどで闘うという意味を持っています。withを付けると、困難や問題などと戦う、また格闘することを示します。そのため、「考慮する」よりも強い意味となり、何をすればいいかを決めにくく、頭の中で討論している、あるいは何かの難題を解決することに苦労している状態を示す際の言い方です。

このTEDトークでハーフォード氏は、アルキメデスがwrestling with a difficult problemをしていたというように、この表現を使っています。

ここでいくつかこの表現を用いた例を紹介します:

●The employee wrestled with whether to accept the transfer to an overseas office.
(従業員は海外拠点への異動を受けるかどうかについて葛藤しました)

●Even though it was legalized in his country, the doctor wrestled with the ethics of euthanasia.
(自分の国では合法化されたものの、その医師は安楽死の倫理に葛藤した)

●Whether or not to buy a car is a decision that many people wrestle with.
(自動車を買うかどうかというのは、多くの人が悩む決断です)

プロフィール

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp 異文化コミュニケ−ション、グローバル人材育成、そして人事管理を専門とする経営コンサルタント。日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートするジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社の創立者兼社長。イェ−ル大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営大学院修了(MBA)。『シリコンバレーの英語――スタートアップ天国のしくみ』(IBC出版)、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)など著書多数。最新刊は『日本企業がシリコンバレーのスピードを身につける方法』(共著、クロスメディア・パブリッシング)。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story