結婚ソングも失恋ソングも「オーダーメイド」 will.i.amが語るAI時代の音楽
In Harmony With AI

メルセデス・ベンツとのパートナーシップを発表したウィル・アイ・アム MERCEDES-BENZ AG
<音声AIとの対話で、一人一人の体験や記憶をベースにした、世界唯一の音楽を聴ける日がくるかも>
AI(人工知能)は「究極の創作手段」であり、楽曲作りを異次元のエモーショナルでパーソナルなレベルに引き上げてくれる。そう信じるIT起業家で、ヒップホップグループ「ブラック・アイド・ピーズ(The Black Eyed Peas)」のフロントマンでもあるウィル・アイ・アム(will.i.am、本名ウィリアム・アダムズJr.)が本誌の取材に応じた。
多くのミュージシャンと違って、ウィルは曲作りにピアノやギターを使わない。「私はコンピューターで曲を作る。AIもコンピューターだが、軽く10億倍のパワーがある」とウィルは言う。「マウスを操作して曲を作る時代は終わり、口(マウス)でコンピューターと対話しながら曲を作る時代が来ようとしている」
今の音楽は、そのテーマに共感できる人にしか響かない、とウィルは思う。
「ジョン・レジェンド(John Legend)に提供した『オーディナリー・ピープル(ordinary people)』は私自身の失恋経験から生まれた。あれを聴く人が感じるのは、いわば失恋の疑似体験であり、その人自身の失恋ではない。『アイ・ガッタ・フィーリング(I Gotta Feeling)』で歌ったのは私の前向きな思いであり、あなたのじゃない。それでも多くの人に聴いてもらえたのは、幸いにして私の思いが共有されたからだ」