米関税は欧州経済に打撃、インフレへの影響不明=スペイン中銀総裁

4月9日、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのエスクリバ・スペイン中銀総裁は、米国の関税引き上げはスペインをはじめとするユーロ圏経済に打撃を与えるが、インフレへの影響はそれほど明確ではないと述べた。マドリードで2024年9月撮影(2025年 ロイター/Susana Vera)
Jesús Aguado
[マドリード 9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのエスクリバ・スペイン中銀総裁は9日、米国の関税引き上げはスペインをはじめとするユーロ圏経済に打撃を与えるが、インフレへの影響はそれほど明確ではないと述べた。
米国の関税引き上げ発表に端を発した世界的な金融市場の混乱は、ECBによる来週の再利下げをより強固なものとし、世界第2位の中央銀行によるより迅速な政策緩和を支持するものである、とエコノミストは述べている。
エスクリバ氏はスペインのテレビ局TVEに対し、リセッション(景気後退)について語るのは時期尚早としながらも、米国の関税政策による供給混乱は「非常に厳しいものであり、経済活動の急激な落ち込みや景気減速を引き起こす可能性がある」と語った。
インフレに関しては、米国の関税は需要や消費、投資の減少あるいは短期的な供給網の混乱など、ユーロ圏の物価に上昇と下落の両面の影響を与える可能性があると指摘。「正味の影響がどうなるかを見なければならない。方向性は明確ではなく、われわれは状況に応じて決断を下さなければならない」と述べた。
エスクリバ氏は、スペイン中銀は今年の経済成長率予測を下方修正すると述べたが、具体的な数字は示さなかった。また、雇用創出も関税の打撃を受ける可能性があるとした。
スペイン中銀は先月、国内経済が今年2.7%の高成長を遂げるとする見通しを発表した。その時点では最近の地政学的緊張の影響は考慮されていなかった。