Picture Power

【写真特集】リアル過ぎる赤ちゃん人形が愛される理由

REBORN BABY BOOM

Photographs by DIDIER BIZET

2020年07月11日(土)18時00分

スペイン・バレンシアで開催される「エクスポ・ドールショー」は、リボーンドール作家や収集家が集う欧州最大の展示会。作家のビアンカ・フランケ(左)は「子供」たちの細部の作りを熱心に見ていた

<赤ちゃんの超リアルな質感が再現された人形は、世界中で多くの人の孤独を癒している>

本物の赤ちゃんのようなシリコン製の人形「リボーンドール」がアメリカで生まれたのが1990年代。今やロシアから中国、カナダ、日本まで世界中で愛され、多くの収集家や人形作家がいる。

リボーン、つまり「生まれ変わった」赤ちゃんのすごさは徹底的なリアリズムにある。世界に約2万人いるという作家の手で、あざや血管、髪、毛穴といった細部や、赤ちゃんの超リアルな質感が再現されている。

人形を求めるのは、子供を失ったり持てない人だけではない。癒やしを求める人もいれば、アルツハイマー病の高齢者を安心させたり、小児科医の研修目的で使う人もいる。

緻密ゆえの不気味さを強調する報道もあるし、「死んだ赤ちゃん」のように見えるという声もある。それでも人々はリボーンドールを「養子」にし、自分の子供のように愛情を込めて世話をする。服を着せ、ベビーカーで散歩をさせ、部屋をこしらえてやる。

彼らにとって、人形は孤独を癒やす薬。偽物の赤ちゃんでも、本物の幸福と愛をもたらしてくれる。つまりリボーンドールは希望や幸せ、安らぎと同義なのだ。

ppbaby02.jpg

「エクスポ・ドールショー」で、絵付け方法を説明する作家のルース・アネット・ヘリントン(右、後ろ姿)。インターネットや書籍、セミナーを通じ、これまでに何千人もの作家に制作技術を伝授してきた


ppbaby03.jpg

ロシアの作家ガリーナ・ロバショーバは本業でインテリアデザインの仕事をしつつ、世界中で人形を販売している。制作のワークショップを開けるよう、夫が自宅を改築してくれた


ppbaby04.jpg

心臓の鼓動が聞こえたり、呼吸や指しゃぶりをしたり、頭を動かす高級モデルもある。USBで充電可能だが、装置はうまく隠されている


ppbaby05.jpg

首都マドリードにスペイン初のリボーンドール店を開いたマリア・バレ・エスクデロ。「中南米の女性たちは欧州に来ると、わざわざこの店に立ち寄る。地元では手に入らないから。感激して泣きだす人もいる」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英小売売上高、10月は前月比-0.7% 予算案発表

ビジネス

アングル:日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心

ビジネス

三菱UFJ銀、貸金庫担当の元行員が十数億円の顧客資

ワールド

中国、日本などをビザ免除対象に追加 11月30日か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story