ホームレス女性殺害事件がモチーフの『夜明けまでバス停で』 直近の現実を映画で描く葛藤
現実について書けば、64歳の女性は深夜のバス停で、石を詰めたペットボトルで殴り殺された。殺害した46歳の男性は母親と2人暮らしで、起訴されて初公判を迎える前に自殺した。
このあまりに凄惨な現実を、高橋伴明はどのように描くのか。最後の場面について、評価は分かれると思う。僕は手放しで称賛できない。ただしここに、映画を撮る側の格闘の痕跡がくっきりと残されていることは確かだ。高橋の言葉を最後に引用する。「『光の雨』から20年、監督デビューから50年、何のヒネリもなく、そのままに『怒り』を吐露しても、もういいのではないだろうか」
『夜明けまでバス停で』(10月8日公開)
©2022 「夜明けまでバス停で」
製作委員会
監督/高橋伴明
出演/板谷由夏、大西礼芳、三浦貴大、松浦祐也
<本誌2022年10月11日号掲載>
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