米上院、トランプ減税実現へ前進 予算概要可決

米上院は5日、トランプ大統領が2017年に導入した大規模減税の延長や、連邦政府の大幅な歳出削減を目指す予算の概要を51対48の賛成多数で可決した。写真は米連邦議会議事堂。ワシントンで2月撮影(2025年 ロイター/Nathan Howard)
David Morgan Richard Cowan Bo Erickson
[ワシントン 5日 ロイター] - 米上院は5日、トランプ大統領が2017年に導入した大規模減税の延長や、連邦政府の大幅な歳出削減を目指す予算の概要を51対48の賛成多数で可決した。
これにより、共和党は「財政調整措置」と呼ばれる手法を用いて上院のフィリバスター(議事妨害)を回避し、トランプ氏が掲げる減税や国境警備強化などの政策を民主党の協力なしに可決することが可能になる。
上院予算委員会のグラム委員長は「上院は(財政調整措置)に向けた小さな一歩を踏み出し、減税恒久化、国境の安全確保、軍への支援、連邦政府の無駄の削減に向けて大きな一歩を踏み出した」と述べた。
共和党のスーザン・コリンズ、ランド・ポール両議員は反対に回った。
予算の概要は今後、下院で審議される。
超党派のアナリストによると、概要に盛り込まれた政策が実現すれば、政府債務は今後10年間で約5兆7000億ドル増加する。上院共和党は、今年末で失効予定の減税を延長する措置の影響は含めるべきでないとして、コストは1兆5000億ドルにとどまると主張している。
予算概要は減税費用を一部相殺するため、歳出削減を目指している。民主党は、これによってメディケイド(低所得者向け医療保険)が危険にさらされると警告している。
予算概要には、連邦債務上限の5兆ドル引き上げを目指すことも盛り込まれた。議会は夏までに債務上限を引き上げる必要がある。