コラム

就活生と企業の「ズレ」を解消する、面接の3つのポイント

2019年03月19日(火)14時25分

価値観への共感がなければ、会社での毎日が針のムシロになる

2つめのポイントは、企業の価値観に共感共鳴できていることだ。これについては転職をテーマとした前回のコラムでも触れた。

確認すべき価値観は、大きく分けて2つある。ひとつは「社外規範」(その会社が、事業を通して世の中にどんな価値を出し、どんな世の中を創ろうとしているのかということ)。もうひとつが「社内規範」(どんな時に褒められるのか、どんな考えや行動が良いと言われるのか。社風であり、求められる働き方でもある)だ。

社外規範に共鳴できなければ、苦しい時を乗り越えられない。社内規範が合わなければ、毎日が針のムシロの上に居るような感覚になり、会社に行くことが苦痛になる。逆に社内規範が合えば、自分が大事にする頑張り方が正当に評価される可能性が高いので、毎日伸び伸びと仕事に取り組めるはずだ。

新卒で入社し転職経験がない人事担当者には、自社の社外規範・社内規範を語れない人も多い。なぜなら、ひとつの会社しか知らないので、それが当然であり、比較ができないからだ。人事は、自社の特徴を徹底的に考え、それを学生に伝えてほしい。そうしなければ、本当に自社に合った人は採用できない。

筆者は新卒の就職活動の時、その会社への志望度が高かったがゆえの話だが、最終面接で落とされた翌朝、「なぜ私を落とすのですか、絶対に採用した方がいいですよ」と伝えに行ったことがある。人事部長が出てこられて丁寧に対応していただいた。しかし、当然だが結果は覆らなかった。

だが今では感謝している。その会社の社内規範にまったく合わなかったのだ。もしも入社していたら、毎日が針のムシロだったに違いない。

年齢に関係なく大きな仕事を任せてほしい。過去の延長ではなく新しいことをどんどんやらせてほしい。それが、私が求めた働き方である。しかし、その会社は、役職者になるまでの年数は長く、どちらかというと前例を大事にする社風だったのだ。

社外規範・社内規範への共鳴が大事だと教えてもらっていれば、決して選ばなかった会社だ。筆者も当時は、知名度やイメージに惑わされていた。だからこそ伝えたい。企業は本気で自社の社外規範・社内規範を伝えるべきだし、学生は本気でそれに共感共鳴できるかを考え抜き、感じ取ってほしい。

自己分析は、社会を知ると驚くほど深まる

3つ目のポイントは、自分自身を理解した上で志望しているかということ。

企業側の視点で言うと、自己をよく理解できていて、その上で合っているからやりたいと言っているかということだ。

自己分析は大事だが、就職活動で求められているのは、仕事をするための自己分析なのだ。自分の内面とだけ向き合っても、仕事をする上での自分の特徴は分からない。その意味で本当の自己分析ができていない学生があまりに多い。

プロフィール

松岡保昌

株式会社モチベーションジャパン代表取締役社長。
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士の資格も持ち、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。リクルート時代は、「就職ジャーナル」「works」の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長として同社の急成長を人事戦略面から支え、その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として広報・宣伝のあり方を見直す。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長、福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役などを担当。AFPBB NEWS編集長としてニュースサイトの立ち上げも行う。現在は独立し、多くの企業の顧問やアドバイザーを務める。

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