コラム

ブロックチェーンで「夜の街」歌舞伎町を変えたい

2018年06月25日(月)18時22分

kohei_hara-iStock.

<還暦間近の私・李小牧だが、この半年間、必死に勉強してきた。そしてトークンエコノミーで日本を、新宿を豊かにするため、会社を設立。果たしてそんなことが可能なのか? 仕組みを説明しよう>

こんにちは、新宿案内人の李小牧です。

振り返ると、これまでに随分さまざまな仕事を経験してきた。

バレエダンサー、新聞記者、アパレル企業社員、ナイトクラブのダンサー、ラブホテルの清掃アルバイト、おかまクラブの従業員兼ダンサー、歌舞伎町案内人、作家、コラムニスト、レストラン経営者、政治家、映画俳優、貿易会社社長......。

「1人の人間とは思えない」と驚かれることもしばしばだが、まだまだ足りない。やりたいこと、やるべきことは山のように残っている。還暦間近の私だが、今後も新しいチャレンジを続けるつもりだ。

というわけで、このたび経歴に新たな肩書きが増えることとなった。「一番株式会社CEO」がそれだ。ブロックチェーンを活用した口コミアプリ、トークン発行が業務となる。

「お金の民主化」トークンエコノミーとは?

李小牧がブロックチェーンと聞いて、驚いた人もいるかもしれない。あるいは、難しいテクノロジーの話なのかと、このコラムを読むのをやめようとしている人も。でも安心してほしい。これから説明するが、私も半年前までよく分かっていなかった(笑)。

「トークンエコノミー」とは何か。ここで言うトークンとは、ブロックチェーン技術を活用して作られた電子コインを指す。ビットコインなどの仮想通貨と原理的には一緒だ。

仮想通貨、トークンについて事細かに説明しだすと、あっという間にコラムの文字数を超過してしまう。日本にも仮想通貨ブーム、ビットコインブームが到来したが、ブームに乗った人も、単に儲かるからと意義も知らないまま投資している人がほとんどではないか。そこで私がこの半年間、必死に勉強した解釈を簡単に説明しよう。

仮想通貨、トークンとは、インターネット上で交換可能なコインだと思えばいい。その特徴は「脱中心」と「安全性」だ。前者は日本銀行のような中央銀行、あるいはグーグルのような巨大IT企業の支配下になく、独立が保たれていることを意味する。後者は一度取引が行われればその情報は変更不可能であるという意味だ。

普通のお金は安全で信頼できるが、国家の規制に強く縛られているし、たとえ市井の人々が自由にコインを発行してもなかなか信頼してもらえない。だが、仮想通貨の技術を使えば、市井の人々が自由に発行したコインが安全性を担保される。これが「マネー革命」「お金の民主化」などと騒がれている理由だ。

「いやいやいや、市井の人々が信頼できる電子コインを発行できる。そのどこが革命なんですか? 具体的に何ができるんですか?」と疑問に思う人も多いだろう。その疑問は正しい。

具体的にどのように応用するかは今後の課題であり、世界中でさまざまな試みが行われている。失敗する試みも多いだろうが、何かすごいものが生まれてくるかもしれない。生まれたてほやほやの技術をどのように応用し育てていけるのかに、企業家や開発者は知恵を絞っている。私、一番株式会社の李小牧CEOもその1人だ。

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story